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上場を廃止して海外に脱出するサンスター
買収されることのないようにと、自分から上場廃止に向かっているのがサンスターだ。上場廃止になれば、市場で勝手に株を売買されることがなくなり、敵対的買収の危険から逃れることができる。自ら上場廃止になるには、自社株を買うMBO(Management Buy-Out、経営陣が自社株を買うこと)を使うことが多い。
サンスターは自社株を約52%買って、創業者がもともと持っていた保有株と合わせると83.53%に達することになった。この結果、今年(2007年)7月にも上場が廃止される見通しである。こうして短期的な業績や株主の意向にとらわれない経営ができる体制を整えるのである。実際、今後は本社機能をスイスに移し、海外事業を強化していきたい考えと聞く。
サンスターのとった手法は極めて異例である。まず日本に作った特別目的会社で、1株あたり650円で株を買い付けた。サンスターと株主、特別目的会社の三つの会社での株のやり取りなので、(この5月から解禁される)三角合併に近い形だ。三角合併の場合は、親会社の株と交換することも可能だが、サンスターはお金で株を買ったわけだ。こうして3分の2以上の株を買い占めたので、TOBは成功したわけである。
わたしの記憶では、かつて上場していた会社が、海外に本社を移し、特別目的会社を作って三角合併に近い形でTOBを成功させた初めての例である。かつて海外、特にスェーデンでよく見かけた手法で、スイスや英国に会社を移したのであるが、日本では極めて珍しいといえる。わたしはこれから先、海外に本社のある会社が日本国内でどういう活躍をするのか見守りたい。
スイスに本社を移すということは、日本政府に「もう法人税は払わないよ」と言っているようなものだ。スイスは法人税も安い。この手法でぬくぬくとうまくいってしまうと、他の会社が後に続く可能性がある。わたしもサンスターが成功することを期待している。期待はしているのだが、こういう手法をとる企業に、わたしは懸念がないでもない。それはどういうことか。サンスターと同じように、創業者が(あるいはそれに近い筋が)MBOをやった例は過去にもいくつかあるのだが、いずれも悪評紛々だったのである。
ここで引き合いに出すのも申し訳ないが、例えば外食産業のレックス・ホールディングスは、MBOをやって自社株を集めて上場廃止になった。しかし、その後にさまざまなトラブルや経理上のミスなどが発覚して、「あの会社、実は無茶苦茶だったんだ。もともと上場を維持することは無理だったんだ」ということが分かったのである。結局、そういう悪い情報が明らかになる前にMBOを実施した、という話だったわけだ。 レックス・ホールディングの場合は、100数十億円のロスだった。
ほかにも粉飾決算で訴えられることを避けるためにMBOを実施する例もあった。サンスターがそうでないことを祈りたい。
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