●わずか数分もあれば誰でも直感的に乗りこなせてしまうセグウェイ。そんな乗り物としての魅力から、海外ではエンターテイメント分野での導入が進んでいるが、それ以上に注目すべきは警察機関や警備会社といったセキュリティ市場への普及だ。既に全世界350以上の警察機関で、パトロールなどに使われているという。
●セキュリティ市場におけるセグウェイ導入のメリットについて、日本SGIの戦略事業推進本部Segway事業部長を務める秋元大氏は、「ワークスタイルや働く人の意識が変わること」としている。確かにセグウェイは乗っていて楽しく、操作性や機動力にも優れているのだが、それが果たしてどのような意識の変化をもたらすのだろうか。
●実はこの「ワークスタイルの変化」「意識の変化」こそが、日本SGIが描くセグウェイ普及のシナリオの“要”となる部分だ。後編では、国内におけるセグウェイの販売戦略、セグウェイと同社ロボット事業との関連性、さらには将来的にどのような方向に向かっていくのかなどについて分かりやすく紹介しよう。

取材/土屋 泰一、林 愛子
文/林 愛子
写真/佐藤 久、新関雅士

2007年5月30日

海外で注目を集めるセキュリティ市場への導入が日本でも本命

 セグウェイの導入先として、今もっとも熱い視線が注がれているのがセキュリティ市場だ。

 既に全世界350以上の警察機関に導入実績があり、海外ではショッピングモールや空港などの警備にも使われているという。いずれも最初は“試しに”導入するのだが、例えば米国のシカゴ警察が150台導入したのをはじめ、ほとんどのセキュリティ関係者たちが試験導入から本格導入に切り替えており、セキュリティ市場との相性の良さを伺わせる。

 日本SGIの戦略事業推進本部Segway事業部長、秋元大氏は、その理由を次のように説明する。

 「セグウェイならではの特徴が、セキュリティという分野に非常にマッチしていることが大きいでしょう。例えば、停止や発進しやすい、機動力が高い、クルマが入っていけない路地にも楽々と入っていける等が挙げられますね。また、クルマと違って外界と遮断されないから、人とのコミュニケーションをとりやすいとか、目立つから犯罪の抑止が期待できるといったことも理由としてあげられます」(秋元氏)。

 そうした海外での現状を踏まえたうえで、日本でもセキュリティ市場にも普及を図りたい考えを明らかにした。

秋元 大 氏
 日本SGI 戦略事業推進本部Segway事業部長 秋元 大 氏

 では、セグウェイの導入によって、セキュリティの分野では何が変わるのか。どのようなことが起こるのか。

 例えば、シカゴやマイアミといった犯罪の多い都市の警察機関では、警察官がセグウェイをパトロールに使っているが、そこでは「警察官、住民、そして犯罪者予備軍の三者の意識に変化が起きています」(秋元氏)と言う。

 第1に警察官の意識。スタイリッシュなセグウェイで颯爽(さっそう)と移動する姿は文句なくカッコいい。住民からそういった眼差しを向けられることで、モチベーションが高まることは想像に難くない。

 また、有事の際にはパトカーだと現場の側までは行けても、最終的にはクルマを降りて歩くことになる。警察官自身の身の安全を考えたとき、何かあったときに走って逃げるのではなく、素早くサッと退避できるセグウェイの方が安心して職務に携わることができる。

 第2に住民の意識にも変化が生じている。セグウェイでパトロールすることで、パトカーよりも警察官と住民のコミュニケーションがとりやすく、親近感を持ちやすくなる。さらに、路地裏までくまなく巡回されるようになれば、安心感も増すだろう。

 そして、本当は起きてはならないのだが、犯罪を起こそうとしている人間――すなわち“犯罪者予備軍”の意識も変わるのだという。セグウェイに乗った警察官が頻繁に街中を巡回しているということは、犯罪者側から見ると、セグウェイで事件現場に急行される可能性も、事前に顔を知られてしまう可能性も高くなるということだ。つまり、その地域では犯罪行為をしづらくなり、抑止効果が期待できる。

 こうした意識の変化は警察に限った話ではなく、セキュリティ市場全般に通じるだろう。上記のケースは街中の巡回パトロールだったが、それをショッピングモールに置き換えても、そのまま当てはまる。ショッピングモールの警備員がセグウェイに乗りながら、モールを巡回する。買い物客は安心してショッピングできるし、道や店を聞く場合でもセグウェイに乗った警備員なら背が高いから見つけやすく、コミュニケーションもとりやすい。


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