Security Solution Expo 2002

HOME

ニュース

特集
ビジネスマンの新常識−−IT法律知識でしっかりリスク管理!
バックナンバー

コラム
リスクマネジメント最前線(田中辰巳)
危機管理は『ギャップ』の認識から
バックナンバー
女性のためのセキュリティ講座(佐伯幸子)
配達を受ける際の要注意事項
バックナンバー

危険度診断

製品&サービス
ネットワーク
セキュリティ
ホーム
セキュリティ
オフィス
セキュリティ
自動車
セキュリティ

(随時追加更新)
バイオメトリクス
認証
  
生損保&リスクマ
ネジメント・サービス

(随時追加更新)
商品早見表
(近日公開)

用語解説

関連サイト

BACK NEXT
リスクマネジメント最前線
田中 辰巳(たなか・たつみ)/リスク・ヘッジ代表取締役

1953年愛知県生まれ、49歳。
77年慶應義塾大学法学部卒業後、アイシン精機に入社。
83年リクルートに転じ、秘書課長、広報課長、総務部次長(リスクマネジメント担当)など管理畑を歩む。
95年ノエビアに移り、宣伝部部長、社長室室長を経て
97年に独立。危機管理のコンサルタント業務を手がけるリスク・ヘッジを設立。著書に『企業危機管理 実戦論』(文藝春秋)『「危機にあいやすい人」の心理と回避術』(講談社)など。
趣味・特技は柔道(三段)、クレー射撃、ゴルフ。
◆長嶋さんがくれた示唆(連載第7回)
 8月7日(水)午前11時頃、プロ野球読売巨人軍前監督の長嶋茂雄さん(66)方に包丁を持った男が侵入した。長嶋さんといえばテレビCMでもおなじみだが、セキュリティのトップ企業、セコムの“顔”である。当然ながら警備は万全のはず。ところが、在宅中だったために警備システムのスイッチが切ってあったらしい。

 この笑い話のような事件は、セコムの株主にとって笑い事では済まされなかった。事件当日のセコムの株価は5830円(高値)だったが、翌日から下がり始めて、半月後の8月22日には5080円(安値)まで下落したのである。

 自宅で記者会見に応じた長嶋さんは、「警察のチームプレーで(犯人が)捕まってよかったが、うちはガードが甘かった」と反省の弁を述べた。確かに、犯人が67歳の老人で、お手伝いさんの大声で逃げ出すような小心者だったからよかったものの、屈強な凶悪犯だったら惨事はまぬがれなかったに違いない。

 実は、長嶋さんに限らず、日本人の危機意識は決して高くないのが実態だ。

 日本能率協会が発表した『新任取締役へのアンケート』の結果を見ると、それが浮き彫りにされている。今年の1〜6月に選任された上場企業の新任取締役を対象に行った調査で、301人から回答を得たものだ。相次ぐ企業の不祥事については、「経営トップの認識の甘さ」や「企業風土」が原因と、7割以上が回答している。

 しかし、自分の会社について聞かれると、10.33%が「不祥事の心配は全くない」、56.5%が「あまり心配ない」と回答しているのだ。「非常に心配」と答えたのはわずか2.3%だった。実に7割弱が、「我が社に限っては大丈夫」と考えているのである。

 この数字を見ると、日本の企業が危機管理に取り組む場合には、まず取締役の意識改革から着手しなければならないことが明白だ。そして、全従業員および子会社にまで、意識改革の輪を広げていく必要がある。でなければ、どんなに優秀な設備やシステムを導入しても、セキュリティのレベルを高めることはできない。長嶋さんのように、スイッチを切ってしまうからだ。

危機意識は持続させるのが難しい
査定に危機管理能力を入れ込む手も


 その意識改革も、1回だけでは全く効果がない。なぜなら、人間は『忘れる動物』だからだ。阪神大震災から7年が経過すれば、被災者以外の人は震災への警戒心を失ってしまう。わずか1年にも満たない同時多発テロでさえ、多くの企業にテロの恐怖を思い出させる力を失いかけているのだ。人の危機意識というのは、まるでグライダーのようなもので、第三者が持ち上げてやらないと、すぐに低空飛行になってしまうのである。

 私は企業のトップから「危機管理を成功させる秘訣は何か?」と問われると、「トップから従業員まで、危機意識を失わない仕組みを事業の中に組み込むことです」と答えるようにしている。

 例えば、昇進や昇給・賞与を決める査定の項目に、危機管理の能力や実績を加えるのも有効だ。新任の管理職や取締役に、危機管理の研修を行うことも必要だ。社内報などで、外部からの厳しい指摘やクレームの一部を取り上げてみるのも一手だ。「QCサークル」ならぬ「RC(リスクコントロール)サークル」活動を発足させるのもいいだろう。リスク回避提案制度など、やらない方が不思議なくらいだ。他にも、やれることは山ほどある。

 長嶋さんの行動を「人のよい長嶋さんらしい」で片付けてしまわずに、危機管理における重要な示唆として生かしてもらいたいものである。

  TOP  
BACK HOME NEXT
日経BP社 プライバシーポリシー リンクポリシー ご意見・お問い合わせ
Copyright (c) 2002 Nikkei Business Publications,Inc. All Rights Reserved.
BizTech Mail購読のお知らせ