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勝ち組企業の秘密
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利便性と安さ、楽しさを提供するドン・キホーテ


 
深夜営業で若者を中心とした消費者に人気のドン・キホーテ(写真は東京都港区の六本木店)  
 
  街並みを散歩しながら、掘り出し物を見つける楽しみを提供しようというのが三井アウトレットパークなら、“トレジャーハンティング(宝探し)”そのものの楽しみを提供しようというのが、ディスカウントハウス(※)のドン・キホーテだ。若者を中心に絶大な人気を得ながら店舗数を増やし、2004年8月末時点で97店舗。売上高はここ数年2桁成長を続けている。


  同社の店舗は、床から天井まで商品がうずたかく積まれた「ジャングル陳列」という名の雑然とした圧縮商品陳列に、一度入ったら出口がなかなか見つからない、迷路のような通路が大きな特徴だ。床には商品が箱ごと置かれ、天井からも商品がぶら下がる。通路は迷路のようで、どこに何が売っているのか、売場の表示もない。

 しかし、この雑然とした陳列が、何か掘り出し物が見つかりそうな雰囲気と、その掘り出し物を探し当てるような楽しさを一般の消費者に提案しているのだ。

※ディスカウントハウス 日本では「ディスカウントストア」と呼ばれることが多いが、ディスカウントストアとディスカウントハウスは業態が異なる。ディスカウントストアが大量仕入れ・大量販売によって生活必需品を安価に提供する業態であるのに対し、ディスカウントハウスはメーカー余剰品や型落ち品などのスポット商品(在庫過剰や倒産などによる処分品)を大量に仕入れて安価に提供する業態のことを一般的に指す。ディスカウントハウスは、ディスカウントストアに比べて生活必需品の品揃えが弱いことと、スポット商品を多く扱うため品揃えが一定しないという差がある。


テレビ電話による薬剤師との“対面相談”で
医薬品を24時間、全店舗で販売へ

 ドン・キホーテでは、「便利さ(コンビニエンス:CV)」「安さ(ディスカウント:D)」「楽しさ(アミューズメント:A)」の3つの頭文字を取った、「CV+D+A」という経営コンセプトに基づいた店作りをしている。

 「便利さ」を追求する上で同社が取り組んでいるのが、住宅地近くへの出店と深夜営業だ。幹線道路沿いやターミナル駅周辺などに立地し、夜遅くまで営業しているため、深夜帯になると若者を中心とする客でにぎわいを見せる。

 もう一つ、「便利さ」を追求した取り組み例を挙げよう。同社は医薬品も販売しているが、従来は薬剤師を確保しやすい日中の営業時間帯が中心だった。これはすぐ後でも触れるが、薬事法によって医薬品の販売は薬剤医師による“対面販売”が規定されているからである。ところが、「子供が急に発熱したので解熱剤で少し様子を見たい」「急患で病院に駆け込むほどではないが、せめて薬を飲んでおきたい」――そうしたお客にとって、薬剤師が不在の深夜時間帯に販売してもらえないというのは、不満以外の何ものでもなかった。ドン・キホーテには、深夜でも医薬品を販売してほしいという要望や、販売していないことに対するクレームが多く寄せられていた。

 そこで同社は2003年8月、テレビ電話を介して遠隔地にいる薬剤師に相談し、医薬品の“対面販売”ができるシステムを10店舗で導入した。これを利用すれば、一人の薬剤師が複数の店舗で対面販売ができるという画期的なシステムであった。しかし当時の薬事法では、テレビ電話などを用いて遠隔地から相談に応じることについての明確な規定がなかったため問題となり、サービスの一時中断を余儀なくされた。

 その後、薬剤師不足という実情に即した形で薬事法が改正され、2004年4月からはテレビ電話による販売が法的に解禁されたため、同年5月からサービスを4店舗で再開。現在は当初スタートした10店舗すべてでサービスを提供している。

 今後の展開については「(薬剤師派遣などの人材コンサルティング事業を行う)アイロム社と提携し、9月17日にドン・キホーテ新宿店内に提携施設『ドンキ健康館』を開設します。テレビ電話による医薬品販売は現在10店舗体制ですが、健康館の顧客動向なども見ながら、2005年9月あたりまでに全店舗を目標に展開したいと考えています」(ドン・キホーテ 総合企画室 企画広報課 松井恵一氏)とのことだ。

“目的買い”以外の消費者を魅了する
「ジャングル陳列」とは

 経営コンセプトの2番目に掲げている「安さ」も大きな魅力の一つだ。安さを実現する上で重要なのが、独特の品揃えである。同社は商品の約6割を定番商品として品揃えし、残りの4割は卸売業者の在庫処分品や倒産企業の処分品といった「スポット商品」という商品構成になっている。日常生活に関わりの大きい6割の商品をきっちりと押さえながら、4割を種々雑多でバラエティに富んだ商品によって構成している。

 定番品では、例えば一般のお店では1000円以上する乳幼児用紙おむつ「マミーポコパンツ」Lサイズ38枚入りが698円といった激安商品が目につく。スポット商品はその時々で違う商品が並ぶが、携帯電話の充電切れの際に乾電池を使って充電や通話ができる携帯電話用充電器が105円(通常は700〜800円ほどで販売されている商品)などが一例だ。携帯電話ではなくPHSを使っている筆者にも、つい「とりあえず買っておこうかな」と思わせてしまうほど安い商品が、そこかしこで見つかるのである。

 
ドン・キホーテ六本木店の内観。天井からも商品をぶら下げて展示している
 
  3番目の「アミューズメント性」が、“目的買い”ではない消費者を引きつける魅力である。まずは同社独特の陳列方法である「ジャングル陳列」。まさに“商品のジャングル”と言うにふさわしい、雑然を通り越して混とんとした雰囲気をかもし出している。元々は大規模小売店舗の出店や営業時間などを規制する大店法(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律)があったため、1000平方メートル未満の店舗を中心に出店攻勢をかけていたことに端を発する。狭い売り場で多くの商品を陳列するため、いわば“苦しまぎれ”に無理矢理並べたことから始まったものだ。だが、それこそが“商品のジャングル”を歩き回る楽しみを提供しているのである。

 とにかく、一つのコーナーを見るだけで結構な時間がかかる。同じ商品が山のように積まれているわけではなく、色々な商品がゴチャゴチャと雑に配置され、それが床から天井近くまで続くからだ。目当てのものを探すのには一苦労する店だ。しかし、実に全商品のうち4割もがスポット商品で占められるため、いつ訪れても新しい商品がそこかしこに置かれている。スポット商品は現金買い切りで仕入れるため、品切れになれば二度と入荷しないかもしれない。「品揃えが安定しない」というと悪い要素のように思われがちだが、いつ訪れても激安のスポット商品がたくさん置いてあり、どこに置いてあるか分からない、というか雑然としすぎて見つけにくい。それが、言葉は悪いが、まるでガラクタの山の中から宝物を探すような、トレジャーハンティングの楽しさを提供しているのである。
 
   
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このページの内容

序章 “顧客基点”のIT投資が必要不可欠(8月30日公開)

 
第1章 流通業界の変遷(8月30日公開)
 
第2章 明確なコンセプトで“オンリーワン”を実現(9月13日公開)
 
第3章 強みをより強力にするためのIT活用(9月13日公開)
 
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