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●トヨタ自動車は日本最大、世界でも最も優れた製造会社の1つ。アップルやグーグルと並びイノベイティブな会社であり、世界中で製造・販売を手がけるグローバル企業だ。
●ところが同社の現状には、低い給与、低配当、日本人男性ばかりの取締役、階層的で官僚的な組織、戦略的フォーカスの欠如など、「斜陽企業」を思わせる点が、意外にも非常に多い。それでいてこれほどの巨大企業を維持し、しかも革新的あることは、誠に驚異的だ。
●一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任教授の清水紀彦氏は、5年間を掛け、この不思議にメスを入れた。イベント「SAP BUSINESS SYMPOSIUM PREMIUM '08」での清水教授の講演を元に、「トヨタの秘密」を解析してみよう。
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| SAP BUSINESS SYMPOSIUM PREMIUM '08は、東京目白の椿山荘において2008年11月12日と13日に開催された。 |
トヨタ自動車の「強さの秘密」を5年掛けてあぶり出した
「SAP BUSINESS SYMPOSIUM PREMIUM '08」では、特別講演として、元ボストンコンサルティンググループ副社長・現一橋大学大学院国際企業戦略研究科の清水紀彦特任教授による「壁を越える力 −トヨタから学ぶ成長モデル−」が持たれた。
トヨタ自動車が日本最有力企業の1つであることは言うまでもない。アメリカの経済情報誌「Forbes」によれば、2008年における世界の有力企業番付で、唯一の日本企業として世界8位にランクインしている。常に「カイゼン」を続けるその姿勢が高く評価され、その象徴とも言える「カンバン」が日本語のまま世界の製造業で通用していることは、あまりにも有名だ。
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一橋大学 大学院国際企業戦略研究科 特任教授 清水紀彦氏 | |
しかし、現在は優良企業といえども、荒波を被っているときだ。世界景気の悪化により、トヨタも大幅な新車販売台数の落ち込みが避けられず、2008年10月の生産販売輸出実績は、前年同月比で国内17%減、グローバルでは同じく14.7%減と、大幅マイナスとなった。
この結果、2008年度の世界生産計画を当初計画から95万台減らして792万台と修正。あおりを受け、トヨタ自動車本社のある愛知県豊田市では、来年度予算で200億円以上もの市税収入落ち込みが見込まれ、至急、予算仕切り直しに追われているという。
1950年の経営危機を克服してから過去50年以上、成長を続けてきたトヨタにとっても最大のピンチなわけだが、それでも日本最大の製造業であり、破産法申請の瀬戸際に追い詰められている北米自動車産業のビッグ3とは、基礎体力がまったく異なっているのが救いだ。
このような「トヨタの持つ力」「成長力」といったものは、どこから出てきただろうか。清水教授は、2001年から5年間を掛けトヨタと共同研究を進め、この企業を多角的に分析してきた。その結果として、トヨタが長期間にわたって壁を越え続けてきた要因を、「さまざまな矛盾や対立、パラドックスを自らつむぎ出し、3つの拡張力と3つの結合力を総合力としているため」とまとめている。
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