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新連載の本コラム「ビジネスを考える目」は、コンサルタントの鈴木 貴博氏(百年コンサルティング 代表取締役)。鈴木氏が、日常生活 や仕事の場面で気づいたちょっとした「ビジネスのヒント」を毎週紹 介してもらう。携帯電話からユニクロまで、「消費者」と「ビジネス」 のちょうど中間に立った視点で、日本のビジネスをじっと見つめて、 考えるコラム。
「本は大切に扱え」は正しいか
僕から上の世代の人間は、小さいころに「本を大切に」するように教わった世代だと思う。周りの大人たちは子供のころに戦争中や戦後に本が手に入らなくて苦労した世代だったから、子供たちは本は大切なものだと教わり、粗末に扱ったりしたらそれだけで大声で叱られたものである。
さて、本のページの端を折ることを英語で「dog-ear a page」という。三角形に折った部分が犬の耳みたいに見えることからそう呼ばれる。僕らが子供の時には、このDog-earは悪いことだと教わった。Dog-earがある本は、古本屋でも書き込みがある本以上に人気がない。ブックオフでは買い取り金額が減らされるし、アマゾンのマーケットプレイスで売るにも高値は付けられない。
ところが僕は30歳になったころから、かなり積極的に本のページの端を折るようになった。誰に教わったわけでもないが、実はこの習慣は結果として僕のビジネススキルを格段に引き上げることになった。
どういうことか、説明しよう。
僕はコンサルタントという仕事柄、情報収集には力を入れている。インターネット、ドキュメンタリー番組、雑誌に加え、書籍も重要な情報源だ。それほど多読ではないが、それでも年間100冊はビジネス書を読むだろうか。
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一方で、1日は24時間。そのうち10時間が仕事時間だとしても、その中で情報収集に使える時間はせいぜい2時間程度である。その短い時間の中に、ものすごい量の情報が洪水のように僕の脳の中を通過していく。
書籍の場合、読んでいると「なるほどな」とか「これは重要だぞ」と思う瞬間がある。そのような場合は前後の文脈を2〜3回繰り返し読んで吟味する。しかし、20歳代のころに気付いたのだが、そのような記述でもよほど強く印象に残る場合でなければ、じきに忘れてしまうものである。
そのことを実感する簡単な方法がある。面白いので読者の皆さんにも一度やってみてほしい。
まず、ご自分の書棚にあるビジネス書の中から、ちょうど数カ月前ぐらいに読んで「面白かった」と思った本を手に取る。そこで何が面白かったのかを思い出していただきたい。
そうすると、よほど日々バイブルのように使っている本でもない限り、読んだ当時に面白いと思った記述が思い出せないことに気付くはずだ。
さらにもうワンステップ、この実験を進めてみよう。
その本をパラパラとめくって、面白そうな章をもう一度、読んでみる。すると以前、読んだはずの本だけれども、「改めて読むと面白い」ことに気付くだろう。「そうそう、そんなことが書いてあった。面白い、面白い」という感じになってくる。
つまり、どんなに面白い内容の本であっても、読んでしばらく経つと忘れてしまうのである。
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