異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

ECOマネジメントサイト終了のお知らせ
当サイトは、3月31日をもちまして終了することになりました。ご愛読いただきました皆様に感謝いたします。当サイト連載中の主要コラムにつきましては、4月以降、日経BP社の環境ポータルサイトであるECO JAPANで引き継ぎ公開いたします。
ECO JAPAN
コンテンツ
特集
リポート
インタビュー
コラム
人と自然
フロントランナー
ECOラボ

 
テーマで読み解く環境問題
温暖化国際交渉、COP16の意義
今回のテーマ
温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
関連キーワード

レビュー

書評

レビュー 書評

「危機にあるのは
気候か自由か」
チェコ大統領が
「環境主義」を批判
 
「環境主義」は本当に正しいか?
ヴァーツラフ・クラウス著
日経BP社

文/小林佳代
2010年3月29日(月)公開
環境主義者はマルクス主義者に似る

 「温暖化による地球の危機」を訴える声は年々大きくなっている。そんな中、本書では現職のチェコ大統領が、世界で熱を帯びる「温暖化論争」について、「不公平で、不合理な方向に向けられている」と警鐘を鳴らす。

 批判の対象としているのは自然科学の知見に基づくエコロジーとは異なる、イデオロギー化した「環境主義」だ。著者は、世界の環境主義者たちが、結果がどうなるかなどおかまいなしに、人間の生命を犠牲にし、個人の自由を厳しく制限することで世界を根本的に変えようと活動していると主張する。その代表として、ドキュメンタリー映画『不都合な真実』を作りノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア元米国副大統領の存在を挙げる。

 もともと、保護し、保護すべき世界の最適な状況など、定められているわけではない。地球はたえず変化し、発展して自ら均衡状態をつくりだしている。自由で自発的に進化していく世界、人類を否定し、中央集権的に世界を最適な状態にしようとする環境主義者の態度は、マルクス主義者の経済に対する態度とそっくりだというのが著者の主張だ。

 経済学者でもある著者は、環境主義者たちが唱える「地球の危機」に対し経済学的な法則、理論で反論していく。例えば、地球の危機を議論する際について回る「資源枯渇」の問題。これに対しては「価格」の議論で答える。資源が徐々に不足していくと、価格は上昇する。価格が高い時は、需要が多く供給は少ない。価格が低い時はその関係が逆転する。「消滅していく」資源は他の資源に置き換わるか、もっと効率よく消費することで節約される。価格変動のシステムを存在させることが社会を健全に発展させるために不可欠な条件で、規制を設けたり、税金を課すことは適切ではないという考えを示す。

 経済学では未来を議論する際には、「割引率」の概念が不可欠となっている。将来の利益・不利益は現在の利益・不利益とは同等ではないからだ。だが、著者によれば環境主義者たちが採用する割引率はゼロかゼロに限りなく近いものが多い。その結果、未来への影響は莫大(ばくだい)なものとなり、二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に削減することが正当化されている。
 

前ページ前ページ
 1   2 
次ページ次ページ
▲このページのトップ | HOME
松本龍・環境大臣 松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16)
経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏 経済産業省 大臣官房審議官
有馬純氏(10/08/16)
ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏 ピュー気候変動センター 国際戦略部長
エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25)
経済産業副大臣 増子輝彦氏 経済産業副大臣
増子輝彦氏(10/01/25)
ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長、テッド・ノードハウス会長 ブレークスルー研究所
マイケル・シェレンバーガー所長
テッド・ノードハウス会長(09/12/21)
各コラムニストの掲載記事一覧をご覧いただけます  
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』 伊藤洋一の
『BRICsの衝撃』
植田和弘の『地球温暖化防止の環境経済学』 植田和弘の
『地球温暖化防止の環境経済学』
沖大幹の『水の惑星の未来』 沖大幹の
『水の惑星の未来』
荻本和彦の『低炭素エネルギーシステムの将来像』 荻本和彦の
『低炭素エネルギーシステムの将来像』
澤昭裕の『不都合な環境政策』 澤昭裕の
『不都合な環境政策』
筒見憲三の『カーボンマネジメント講座』 筒見憲三の
『カーボンマネジメント講座』
寺島実郎の『環境経済の核心』 寺島実郎の
『環境経済の核心』
十市勉の『資源Wars』 十市勉の
『資源Wars』
鳥井弘之の『ニュースの深層』 鳥井弘之の
『ニュースの深層』
中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』 中上英俊の
『暮らしとエネルギーと温暖化』
西山孝の『資源クライシスの深層』 西山孝の
『資源クライシスの深層』
野村浩二の『ポスト京都の経済インパクト』 野村浩二の
『ポスト京都の経済インパクト』
増田寛也の『低炭素City』 増田寛也の
『低炭素City』
御園生誠の『キーテクノロジー』 御園生誠の
『キーテクノロジー』
山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』 山口光恒の
『地球温暖化 日本の戦略』
山根一眞の『The環業革命』 山根一眞の
『The環業革命』
山本隆三の『市場が解く? 地球温暖化』 山本隆三の
『市場が解く? 地球温暖化』
   
 
荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
「危機にあるのは気候か自由か」
チェコ大統領が「環境主義」を批判

エネルギー政策 米国/欧州

国際交渉 IPCC