異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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施行目前、改正省エネ法-5

企業の省エネ対策のカギ握る
エネルギー管理統括者の手腕

「省エネ産業」が人材育成のきっかけに

 「今回の法改正で『特定事業者』となる中堅規模の事業者で、共立メンテナンスのように法改正への準備を進めている企業は多くない。日常業務に追われるなかで、法改正への対応は難しいのが現状だ」というのは、省エネルギー評価支援などのアドバイザーで、資源エネルギー庁「省エネ化と『省エネ産業』の展開に関する研究会」委員も務めた杉山利夫氏だ。こうした規模の事業者には、省エネを推進する人材を育成する余裕がないこともその理由の一つだという。

 そうしたなか、杉山氏が昨年まで取締役を務めた日本環境取引機構(名古屋市)では、これまで培われてきた省エネ技術を先進企業から中小企業へ、そして後進世代へと伝承することを目指した「省エネ伝承塾」を随時開催している。ここでは、中小企業の経営者や実務担当者を対象に、省エネにおける実践的な着眼点を指導し、受講者自らが運用改善を行えるようにすることが狙いだ。

 「多種多様な業種の人を集めても、総花(そうばな)的な省エネの話しかできない。人的余裕のないなかで中小企業の人に受講してもらうからには、自分の会社や業界ですぐに生かせる実践的な省エネ技術を伝えないといけない。そのためには、同業者を集めて行うことが効果的」と杉山氏は省エネに関する人材育成のコツを述べる。

省エネルギーセンターが公開している「平成21年度からのエネルギー使用量把握のための集計用の簡易ツール」
省エネルギーセンターが公開している「平成21年度からのエネルギー使用量把握のための集計用の簡易ツール」(クリックすると大きく表示します)

 さらに杉山氏は、「そもそも、今回の法改正に関する情報が十分に行き渡っていないのではないか」と危惧(きぐ)する。各地の経済産業局が説明会を開くなど、国も周知に努めているが、「中小企業のなかには、自社が規制対象かどうかさえ知らないところが多い」というのが杉山氏の実感だ。こうした企業に対しては、「まずは電気代やガス代の領収書を集めて、省エネルギーセンターのホームページにある簡易計算ツールで、エネルギー使用量を把握するのがいい」と具体的にアドバイスする。だが、こうしたツールがあることさえ広まっていないのが現状で、「商工会議所や自治体と連携するなどして、国にももう一歩頑張ってもらいたいが、民間事業者がこうした役割を積極的に担ってもいいだろう」と、新しい省エネビジネスの展開に期待を寄せる。

 省エネを担う人材育成には、国の資格制度だけでなく、民間の独自の人材育成制度の構築が必要なことが、「省エネ化と『省エネ産業』の展開に関する研究会」の提案でも述べられている。資源エネルギー庁省エネルギー対策課の坂本敏幸課長も、「省エネの成功事例をうまくヨコ展開するためにも、省エネサービスを担う事業者や専門家が必要。そうした人が情報共有する場をつくるなどして、新たな省エネ産業の創出に務めていきたい」と抱負を述べる。

 今回の法改正で、役員クラスからエネルギー管理統括者を選任する必要があることで、省エネ対策に対して、おのずと経営からの視点が強化されることになるだろう。従来、「環境部主導」になりがちだった取り組みが、飛躍的に全社に、さらにグループ全体に広がりやすくなることは間違いない。

 さらに、多数のフランチャイズチェーン店なども対策を進めようとするなかで、この先、さまざまな省エネ対策に関するノウハウが水平展開される仕組みが整備されていくはずだ。ここに新たな省エネ産業のビジネスチャンスがある。

 社内の省エネ活動からグループ全社への環境マネジメントへ、そして事業規模や業種を超えた省エネ産業の活性化へ、裾野をどこまで広げていけるのか、省エネを担う人材育成の発展に期待したい。
 

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