異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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施行目前、改正省エネ法-5

企業の省エネ対策のカギ握る
エネルギー管理統括者の手腕

取材・文/小島和子 タイトル写真提供/共立メンテナンス
2010年3月15日(月)公開
省エネ対策を企業経営の一環に

 昨年4月に施行された改正省エネ法(正式名称:エネルギーの使用の合理化に関する法律)により、エネルギー管理の規制体系が、工場などの事業所単位から企業全体となる事業者単位へと変わった。そして、2009年度のエネルギー使用量が合計して 1500キロリットル以上(原油換算)であれば、「特定事業者」あるいは「特定連鎖化事業者」の指定を受けることになり、対象となった事業者には「エネルギー管理統括者」と「エネルギー管理企画推進者」の選任が義務付けられた。

 エネルギー管理統括者は、事業経営の一環として、事業全体の鳥瞰的なエネルギー管理を行える者が担うと定められている。具体的には、取締役会などで発言権がある役員クラス、あるいは経営企画室やCSR(企業の社会的責任)担当部署などで、会社の意志決定者に直接意見を申し伝えることのできる人材から選任する必要がある。また、その具体的な役割としては、(1)経営的視点を踏まえた取り組みの推進、(2)中長期計画の取りまとめ、(3)現場管理に関する企画立案や実務の実施などがある。

 一方、エネルギー管理企画推進者は、前出のエネルギー管理統括者を補佐する役割を求められ、エネルギー管理統括者が掲げたビジョンを実際に運用するため、エネルギー管理員講習修了者か、エネルギー管理士の資格を有する者が実務に当たらなければならない。

 省エネを推進する人材については、これまでも省エネ法に基づくエネルギー管理士制度が、その育成や社会への展開に貢献してきた。資源エネルギー庁の「省エネ化と『省エネ産業』の展開に関する研究会」が、過去3年間に新たに資格を取得したエネルギー管理士5000人に対して行ったアンケート調査によれば、企業内部の幅広い年齢、役職の人材が、エネルギー管理士の資格を取得している。そして、回答者の過半数は、資格取得に必要な試験の内容が、操業・設備改善、計測、工程変更・設備導入、省エネ計画の立案など多岐にわたるものであり、「実務に役立っている」と回答したという。

 今後も、さらに省エネ施策の多様な展開を図っていくためには、従来の製造部門だけでなく業務部門、中堅・中小企業などにも、省エネを担う人材を広げていくこと、さらに、経営の観点から省エネを推進する体制整備を進めていく必要がある。今回の改正法の狙いもまさにここにある。企業の経営層が、単なる環境対策ではなく、経営ビジョンの一つとして省エネを強力に推進することが求められているのだ。

 日本国内の大企業では現在、専任のエネルギー・環境担当の役員が配置されているのは、売上高上位100社のうち23社と決して多くない。その一方で、世界の大企業150社のほとんどでは、エネルギー・環境などを担当する役員が配置されているとの調査結果もある。こうした企業の特徴としては、エネルギー・環境問題を、コスト要因や法令遵守の課題としてだけではなく、事業展開における利益の源泉として考えていることが上げられる。

 こうしたなか、日本でも一定規模以上の事業者においては、経営の一環として全社的な視点でエネルギー管理を行う、役員レベルのエネルギー管理統括者の選任が義務付けられたことが、今回の改正の大きなポイントだ。
 

■役員クラスからエネルギー管理統括者を選出

特定事業者(又は特定連鎖化事業者)におけるエネルギー管理体制

特定事業者および特定連鎖化事業者は、エネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者をそれぞれ1人選任しなければならない。ここでは、経営視点による環境マネジメントが求められる
 

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