異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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新エネルギー最前線-3

大きな可能性を秘めた地熱発電
法整備で日本をエネルギー大国に

「失われた10年」を取り戻すために

 今回の総選挙の結果、政権党になった民主党は、そのマニフェストの中で、すべての再生可能エネルギーによる電力に対して固定価格買い取り制度の導入を表明している。

 経済産業省が2010年度から導入を予定していた固定価格買い取り制度は、太陽光発電による余剰電力を1kW当たり約50円で買い取るというものだが、産総研の村岡研究グループ長は、「地熱発電の電力であれば(1kW当たり)20円でも十分にペイできる」と語る。しかも、これはややコストのかかるバイナリーサイクル発電の場合で、わが国で主流となっている蒸気フラッシュ発電であれば、条件のよい場所なら1kW当たり10円でもペイできるという。その額であれば、消費者の負担感も少なく、地熱発電の導入に拍車がかかるかもしれない。

 日本の環境に合った地熱発電のビジネスモデルの研究も進む。「バイナリーサイクル発電の一種で、100℃以下の温度でも発電が可能な『カリーナサイクル発電』なら温泉地との共存も可能」と村岡研究グループ長は期待を寄せる。バイナリーサイクル発電の媒体を改良し、より低温な熱源でも発電を可能にしたカリーナサイクル発電では53〜150℃の熱水を利用するが、これならば発電に使った湯水を浴用に適した温度で用いることができる。

 日本には2万8090カ所の温泉が存在する(環境省、2008年3月時点)とされるが、この方法であれば全国にくまなく存在する温泉との共存が可能になる。村岡研究グループ長らの研究によると、新たな掘削を行うことなく、現在は廃棄されている温泉水を用いた場合だけでも72.3万kWの市場規模が見積もられたという。さらに新たな掘削を行った場合、53〜150℃の熱水に限っても(それ以上の温度ならば蒸気フラッシュやバイナリーサイクル発電に使用できるため)833万kWの市場規模で、国土面積の22.2%が対象地域となり全国展開が可能であるという。

 電中研の海江田上席研究員も、「浴用だけでなく、温室暖房や木材乾燥、融雪などにも余熱を利用できるはず」と話す。このような形で、地方自治体などが温度に応じて地熱を多目的に利用するエネルギー利用のあり方も構想されているという。

 米国のオバマ大統領が掲げるグリーン・ニューディール政策のなかでも地熱は取り上げられており、日本でも「地熱の失われた10年」(村岡研究グループ長)を乗り越え、再び注目が高まっていきそうだ。そして、世界的に見ても恵まれた地熱資源を活かすためには「“地熱法”の制定が最も効果的」と、村岡研究グループ長も海江田上席研究員も口をそろえる。地熱のための法制定が進めば、煩雑な手続きの手間を省けるため開発期間は短くなり、コストを下げることが可能になるだろう。「そのためには、まず国民や政治家に、もっと地熱のポテンシャルについて知ってもらうことが必要」。これも両者がそろって口にした言葉だ。

 日本は現在、国内に存在する地熱エネルギーのわずか2%しか開発できていない。
 

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この記事の目次
新エネルギー最前線-3
大きな可能性を秘めた地熱発電
法整備で日本をエネルギー大国に

エネルギー技術 再生可能エネルギー

エネルギー政策 日本/米国/欧州

CO2削減技術 省エネルギー