異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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日本の技術力-1

温暖化防止の主役は日本

低炭素社会構築へカギ握る技術戦略
取材・文/土屋晴子
2007年8月2日(木)公開
素材からプラントまで、世界に誇る日本の省エネ技術

 「乾いた雑巾をさらに絞れというようなものだ」

 省エネルギーの取り組みが進んでいるとされる日本企業が、さらなる省エネ努力を求められたときによく使う表現だが、事実、日本企業は世界に先駆けて膨大な金額を投資し、省エネ技術の研究開発に血のにじむような努力をしてきた。

 「確かに日本企業の省エネは進んでいる。個別企業でできる取り組みは、やり尽くしたと言っていいほどだ」と、財団法人・省エネルギーセンターの大関彰一郎アジア省エネルギー協力センター長は、日本企業の努力を認める。

 それを証明するデータがある。世界の主要国のエネルギー効率を比較したものだが、これを見ると、日本の先進性が浮き彫りになる。日本のGDP(国内総生産)当たりのエネルギー消費量を1とした場合、欧州連合(EU)は1.7、米国は2、経済成長が急速に進む中国やインドに至っては8〜9という効率の悪さだ。
 

■省エネで世界のトップを走る日本

GDP当たりの一次エネルギー消費量の比較

さまざまな省エネルギー対策を進めた結果、日本のGDP当たりの一次エネルギー消費量は世界で最も少ない(日本を1とした場合の比較。省エネルギーセンターの資料を基に作成)
 

 製造業だけを見ても、日本企業の優秀さは抜きん出ている。経済産業省によると、火力発電所で電力を作るのに必要なエネルギーは、日本を1とするとドイツは1.1、米国が1.17、中国は1.29。鉄を作るのに必要なエネルギーは、同じく韓国が1.05、EUが1.1、米国と中国が1.2。このほか、石油製品、セメント、紙・板紙など、いずれの分野でも日本はトップを競う。

 こうしたエネルギー効率のよさを支えているのは、長年にわたって培ってきた日本企業の省エネ技術である。プラントの効率化技術や発電時に出る熱を回収して活用するコージェネレーション技術など、世界に誇れる省エネ技術は数多い。

 プラントの省エネ技術の代表選手は、製鉄所の「高炉炉頂圧発電設備」や「コークス排熱回収設備(CDQ)」だ。「高炉炉頂圧発電設備」は、その名の通り高炉でガスの圧力を利用して発電する設備。CDQは、石炭を蒸し焼きにしてコークスを作る際に出る排熱を回収し、発電を行う設備だ。

 電力会社に関わるものでは「高効率蒸気タービン」や、ガスタービンと蒸気タービンなどを連結させた効率のよい「コンバインド発電設備」などがある。いずれも国内の製鉄会社や発電所ではかなり普及している。

 もちろん、生産プロセスに直結するものだけではない。自動車のハイブリッド技術や住宅の省エネ技術など、生活に欠かせない製品分野でも日本企業の技術力は他を圧倒する。さらに視野を広げて考えてみると、製品の軽量化など「素材による省エネ」も重要な技術の一つと言えるだろう。

 「素材による省エネ」には銅やリンなどの添加により強度を高めた「高張力鋼」や、鉄に比べ強度が10倍、重さは5分の1という「炭素繊維」などがある。自動車や航空機などを軽量化して燃料使用量を削減できるうえ、従来の素材より少ない量で同じ強度を実現できるので、素材そのものの生産時のエネルギー効率向上にもつながる。このほか、変圧器のエネルギー損失を削減する「アモルファス金属」も省エネ素材と言える。

 地球温暖化防止に対する関心の高まりを受け、最近では、省エネ技術で売り上げを伸ばす企業も出てきた。1997年にハイブリッド車を発売したトヨタ自動車は今年6月、国内外での販売台数が100万台を突破したと発表。太陽光発電装置を販売するシャープも2006年度は原料不足で売り上げが前年度比4.2%減となったものの、2004年度は同60%増、2005年度は同34%増という勢いで太陽光発電装置の売り上げを伸ばしてきた。「アモルファス金属」を開発した日立金属は2006年に、中国に「アモルファス金属」を生産するための新工場を建設。2010年度には350億円の売り上げを見込んでいる。
 

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