異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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日本の技術力-1

温暖化防止の主役は日本


低炭素社会構築へカギ握る技術戦略
省エネ技術が海外でのビジネス機会を創出する

 温暖化が世界的な問題として深刻さを増すなかで、省エネ技術に対するニーズは今後ますます高まると予測される。それだけに、日本が技術力で、温暖化の克服に果たせる役割も大きい。例えば、日本で7割以上の製鉄所に普及しているCDQなど最先端の省エネ技術を世界中の製鉄所が導入すれば、CO2排出量は3億t削減できると経済産業省は試算している。

 実は、日本の技術を海外に移転する取り組みは始まっている。その一つが、政府開発援助(ODA)を使った技術移転だ。省エネ設備の導入から人材育成まで、1990年代からさまざまなプロジェクトが実施されてきた。外務省によれば、優遇条件による円借款で行われた温暖化防止関連のプロジェクトは、1997年12月から2005年3月までに83件。総額約1兆900億円にのぼるという。代表的なプロジェクトが、中国での2002年から5年間の「鉄鋼業環境保護技術向上プロジェクト」。燃焼技術改善能力の向上と排煙処理技術、工場燃焼・診断技術について技術移転を実施し、実験炉や工場診断用機材などの機材供与を行っている。

 最近では、日本や米国、韓国などアジア太平洋地域の6カ国がエネルギー問題に共同で取り組む「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)」でも、省エネ技術の海外移転を進めている。今年4月には、中国やインドなどの発電技術者が日本の石炭火力発電所を訪問。発電効率を高めるノウハウを学んだ。

 省エネ技術は、ビジネスチャンスとしても大きな可能性を秘めている。温室効果ガス削減のために、広い意味での省エネ規制が世界的に強化されているからだ。京都メカニズムの一つであるクリーン開発メカニズム(CDM)を活用して省エネ技術を売り込むことも可能だ。こうした世界的な流れに目を付けた企業は、海外でのビジネス展開の準備を着々と進めている。なかでも中国市場をめぐる動きは活発だ。

 新日本製鉄は2003年、中国・北京にCDQなど省エネ設備の設計、製造、販売を行う会社を現地企業と合弁で設立。中国の製鉄会社などへの販売に力を入れている。日立製作所は今年1月、中国・国家発展改革委員会主催の「日立省エネ・環境保全技術交流会」で、中国企業の関係者に省エネ技術を披露した。

 日本企業が海外に技術移転するための地ならしも進んでいる。巨費を投じて研究開発した技術を無償で利用されてしまうという懸念を払拭するため、今年4月に中国の温家宝首相が来日した際には、安倍首相との共同声明に、「省エネ技術に関する知的財産の保護に努力する」ことを盛り込んだ。知的財産権の侵害に関するトラブルの発生時に仲裁する仕組みを政府間でつくることにも合意した。

 もちろん、ナンバーワンであり続けるために、さらなる技術開発にも力を注ぐ。日本政府は「新・国家エネルギー戦略」の一環として「省エネルギー技術戦略」を打ち出し、技術開発に一層力を入れていく方針だ。産官が一体となって世界一の技術力で温暖化の克服に貢献し、同時にビジネスチャンスをものにする。地球温暖化を経済のマイナス要因とだけ捉えるのではなく、チャンスに変えていく努力と工夫が政府にも企業にも求められている。
 

■国の「省エネルギー技術戦略」

技術ジャンル 具体的な技術内容 具体的な適用分野
超燃焼システム技術 燃焼を省く、または効率的に行うことにより製造プロセスの省エネを図る技術 プラズマ技術によるガラス製造技術など
時空を超えたエネルギー利用技術 余剰エネルギーを時間的・空間的な制約を超えて利用することにより省エネを図る技術 工場の廃熱を遠方の需要地に輸送し、有効利用する技術など
次世代省エネデバイス技術 半導体などの高性能化により省エネを図る技術 シリコンカーバイドを用いた変圧器・モーターなどの省電力化技術など
省エネ型情報生活空間創生技術 生活スタイルの変化を踏まえ、高効率機器とIT技術の融合による省エネを図る技術 人感センサーによって空調や照明を統合管理する技術など
先進交通社会確立技術 輸送機器の効率化とモーダルシフトなど利用形態の高度化により省エネを図る技術 自動車の燃費改善技術、ITを利用した信号制御、新交通システム技術など

 
世界をリードできる省エネ技術の開発を多面的に進める
 

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