異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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低炭素時代めざす物流革命-8

実用化目前のITS
環境・安全の両立ねらう

高いポテンシャルを秘めたITS

 多くの分野で導入が加速するITSだが、今後の普及に向け課題も多い。「DSSS」や「ASV」「スマートウェイ」に対応する機器の搭載が不可欠なため、その普及をどのように進めるかという問題がある。カーナビを利用したCO2削減策についても、すでに日本では出荷台数が3400万台に達するほど普及が進んでおり、さらなる機器の普及をいかに図るかという課題が残る。安全面では、これらの機器の搭載車と非搭載車が混在することによる混乱も考慮しなければならないだろう。

 さらには、経産省の「エネルギーITS研究会」(座長:津川定之名城大学教授)の試算によると、ITSなどによって渋滞を解消し、高速道路は80km/hで街路は40km/hで流れているという究極の状態でも、CO2の削減量は1年あたり2300万tであり、運輸部門の年間排出量の約1割にしかあたらないという。すなわち、京都議定書による削減目標の先に「CO2の排出量半減」という目標を掲げるならば、自動車交通の円滑化だけでは不十分ということになる。

 そこで重要な意味を帯びてくるのが、前出の清水氏が述べるような、他の交通機関との連携や、それを支援する都市づくりだ。自動車から鉄道への乗り換え、いわゆるパーク&ライドをスムーズに行うためにもITSは活用できる。自動車から鉄道への乗り換えは、スケジュールの組み立てが面倒なことや駐車場探しなどがネックとなるが、そうした情報を提供するためのツールとしてITSは有効だ。名古屋大学やNEC、デンソーなどが組織する「P-DRGSコンソーシアム」が研究・開発を行っている「PRO-ROUTE」というカーナビ向けプローブ情報を活用した経路案内システムでは、鉄道などの公共交通機関を利用するパーク&ライドを考慮したルート検索も可能となっている。

 都市づくりの面でもITSのポテンシャルは高い。たとえば、市街地中心部への乗り入れを有料化する「ロードプライシング」を導入する場合、ETCのシステムがそのまま利用できるだろう。また欧州では、ITSによる市街地での速度抑制も真剣に研究されている。

 究極的には、エネルギーを使った交通そのものを抑制することも必要となる。通信によって交通を代替すること、あるいは職場と住居を近くすることで徒歩や自転車での通勤を可能とし、交通機関の利用を抑制することも視野に入れなければならないだろう。

 単に交通流をスムーズにするだけでは、CO2の大幅な削減は達成できない。交通手段そのものの切り替えや、移動や交通のあり方を見直すことが必要である。そのような新しい交通システムを考えるとき、ITSのシステムや概念が、さらに重要になってくるだろう。
 

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