異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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生物多様性に挑む-2

熱帯雨林乱開発に歯止め
パーム油認証制度が始動

取材・文/桑原一久 タイトル写真提供/サラヤ
2009年3月26日(木)公開
「地球にやさしい」の落とし穴

 「地球にやさしい『ヤシノミ洗剤』」は、1971年に発売されて以来、環境意識の高い消費者に支持されてきたロングセラー商品である。製造・販売を行っているのは、大阪市に本社があるサラヤだ。

 ところが2004年6月、テレビ朝日が制作する「素敵な宇宙船地球号」という番組のスタッフからサラヤの広報に次のような内容の連絡が入った。

 「ヤシノミ洗剤」の原料でもある、パーム油が生産されているボルネオ島で深刻な環境破壊が起きている。世界的なパーム油の需要拡大に伴い、熱帯雨林が切り開かれ、アブラヤシの生産面積が急激に拡大したためだ。

 在来種であるボルネオゾウやオランウータンの生息域が脅かされており、生物多様性減少の危機が進行している。かつては熱帯雨林の奥深くで生息していたボルネオゾウは行き場を失い、人家の近くに現れるようになった。その結果、害獣として駆除されたり、小動物用のワナにかかって命を落とすといった事件が頻発している。

 御社は、パーム油を使用して“地球にやさしい”はずの商品を販売されているが、このような事実について、どうお考えなのか。番組に出演して、見解を述べていただきたい。番組のタイトルは、「子象の涙、地球にやさしいの落とし穴」だというのである。

 まさに青天の霹靂(へきれき)だった。

 当時を振り返り、サラヤ広告宣伝部部長の代島裕世氏はこう告白する。「最初にこの話を聞いたときには当惑した。『ヤシノミ洗剤』は確かにヤシ油とパーム核油を原料としている。“地球にやさしい”というキャッチフレーズを使っていたのは、この商品が植物性洗剤ゆえに生分解性が高く、下水道や河川に与えるインパクトが少ないからだ。しかし、パーム油の生産地の実状について、わたしたちは何のリサーチも行っていなかった」

 テレビ局の担当ディレクターは、さらに続けて番組への出演を促した。「アブラヤシを原料とするパーム油は、主に食品や洗剤などに使われている。実は、御社に声をかける前に、大手食品メーカーなどに出演依頼をしたが、すべて断られてしまった。番組の目的は事実を知らせるためであり、特定の企業を攻撃することではない。勇気を持って現実を見たメーカーとして、ポジティブに取り上げたいと思うので、ぜひ、出ていただけないだろうか……」
 

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