異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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生物多様性に挑む-2

熱帯雨林乱開発に歯止め
パーム油認証制度が始動

想像力を働かせ生物多様性に挑む

 その一方で、「認証制度は法的拘束力を持つわけではないので限界がある」、「生物多様性を完全に担保できるわけではない」、「そもそもパーム油の消費自体を抑制する必要がある」といった批判が、一部の環境NGOからなされているのも事実である。

 これについて代島部長は、「パーム油は主に、途上国で生産され先進国で消費されている。私たち先進国の企業が、生態系から受けたサービスに対価を支払うこと──Payment for eco system service──は当然の義務だと思う。言い換えれば、黒いパームオイル(認証を受けないパーム油)は買わない、白いパーム油(認証を受けたパーム油)のみを購入するという先進国の姿勢が現地の状況を変えていくと思う」

 そしてさらに、「認証オイルは(非認証のオイルに比べ)1tあたり4ドル程度割高なだけ。にもかかわらず、安ければよい、高いものは買わないという姿勢では、先進国の品格が問われるのではないか。将来は、すべてのパーム油が認証パーム油になるべきだと思う。しかし、認証制度がすべてを解決してくれるわけでもない」と述べる。

 サラヤはRSPOへの参加とは別に、「ボルネオ保全トラスト」という活動も行っている。この組織は、マレーシアの企業や政治家、JICA(国際協力機構)野生生物専門官、サラヤの更家悠介社長などが中心となって2006年10月に発足。ボルネオの熱帯雨林のなかでも最も大きなダメージを受けているキナバタンガン川流域の土地を買い戻し、「緑の回廊(グリーンコリドー)」をつくるというマレーシアのサバ州政府認可トラストだ。

 この地域に生息するオランウータンは、現状のままでは2050年までに絶滅すると言われている。だが、計画どおりに緑の回廊が復活した場合、生存率は95%に上昇するというデータがある。サラヤは2007年5月から、ヤシノミ洗剤の売上の1%を「ボルネオ保全トラスト」の支援に充てている。

 代島部長は強調する。

 「私たちはオランウータンを保護したいのではなく、この地域の生態系のピラミッドの頂点にいるオランウータンを守ることで、生物多様性を守りたい。そして、このエリアをアジアで最初の生物多様性保全の成功モデルにしたい」

ヤシノミ洗剤とハローキティのコラボレーション製品
ヤシノミ洗剤とハローキティのコラボレーション製品。リユースを促せるようボトルのデザインにも工夫されている(写真提供:サラヤ)

 ちなみに、「売上の1%がボルネオ保全トラストに使われます」とパッケージに表示するようになって、「ヤシノミ洗剤」の売上は増加したという。

 「ビジネスとエコロジーは、決して相反するものではない。同じ方向性を向くことで協調できる」(代島部長)のだ。

 生態系サービスの維持=生物多様性の保全は、企業にとって、比較的目新しい課題である。二酸化炭素削減の場合のように、法的拘束力を持つわかりやすい指標がないため、何から手を付けてよいのかわからないという声をよく聞く。

 企業が生物多様性保全という問題に取り組む場合は、今よりももっとイマジネーションを働かせる必要がある。そうすることで自社のビジネスとのつながりと行動指針が見えてくる。サラヤの取り組みは、その好例ではないだろうか。
 

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