異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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企業経営と最新省エネ手法-4

“見える化”と省エネ設備で
CO2の2割削減めざす万葉倶楽部

省エネと補助金で設備投資を2年で回収

 “見える化”の成果を受けて万葉倶楽部では、エネルギーナビゲーションシステム以外にも一連の省エネ対策を導入する予定だ。ポンプのインバーター制御の搭載をはじめ、白熱灯から蛍光灯への交換、重油から天然ガスへの転換、既存ボイラーに代わる潜熱回収型高効率ボイラーの導入、ボイラーの排熱を再利用し熱効率を向上させる設備の設置、現在捨てられている温泉排熱を再利用する設備の導入、老朽化した蛇口を節水型に交換するなどの対策を講じ、小田原館だけで年間465t、全国8館の合計では年間3068t(過去3年の平均値の約18%)の二酸化炭素(CO2)排出量の削減を見込んでいる。

 その実施にあたり万葉倶楽部が利用したのが、環境省の「温室効果ガスの自主削減目標設定に係る設備補助事業(自主参加型国内排出量取引制度)」。これは、費用対効果の高い、確実な温室効果ガスの削減をめざして2005年に開始された制度だ。温室効果ガスの排出削減に自主的に取り組もうとする事業者に対し、一定の削減量を約束することと引き換えに、CO2排出削減に役立つ省エネ設備の整備に対する補助金を、全費用の3分の1を上限に交付するというものだ。

 2008年度に募集した第4期事業では、先進的なモデルと認められた66件が選ばれた。そのなかで、2009年度に3068tのCO2排出量を削減するという万葉倶楽部の目標値は、業務用としてダントツ1位という意欲的なものだ。

 この取り組みによって削減できるのは、もちろんCO2排出量だけではない。小田原館のエネルギーシステムだけで、重油の削減などによるコスト削減は年間433万円と試算され、設備投資費である880万円を2年で回収できると見込む。8館全体で3068tのCO2を削減するという目標は、年間で8200万円のコスト削減につながり、環境省の補助金6400万円とあわせれば、総額2億4000万円にのぼる設備投資費用も2.1年で回収できるという。

万葉倶楽部の高橋弘会長
意欲的な省エネ対策を打ち出す万葉倶楽部の高橋弘会長は、「企業として地球環境を考えた省エネ対策は当たり前と考えてきた」と語る(写真:小島和子)

 トリリオンは、概ね2年半程度で回収できる範囲の初期投資を提案しているが、設備投資は決して小さな額ではない。政策面での支援が、資金面が理由で本格的な省エネ対策に二の足を踏んでいた企業を後押しするのは確かだろう。

 万葉倶楽部の高橋弘会長は、「全従業員に省エネ対策を徹底するのは容易ではない。そこでエネルギー消費を目に見えるデータで明らかにしたい」と、エネルギーナビゲーションシステムの“見える化”の効果に期待する。そのうえで、従業員の努力だけでは足りないところを、一連の省エネ対策で補う考えだ。「2009年度は、まず18%のCO2削減をめざすが、成果が出れば2年目以降も順次取り組みを拡大したい」と高橋会長は意欲を見せる。温浴業界の大手、万葉倶楽部での取り組みの成果が、今後の業界の省エネ動向を左右していきそうだ。
 

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