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各分野で温室効果ガスの削減が求められるなか、常に注目を集めるのが自動車産業での取り組みだ。特に今年は、ハイブリッド車が大きく売り上げを伸ばし、電気自動車の販売が本格化するなど、「エコカー時代」の到来を予感させる賑わいを見せている。日本の自動車産業は、低炭素社会でも頂点の座を守ることができるのだろうか。

特集

低炭素時代めざす物流革命-5

整い始めた物流革命の基盤
高まる鉄道貨物輸送の潜在力

取材・文/桑原一久 タイトル写真提供/JR貨物
2008年10月9日(木)公開
導入機運高まる鉄道貨物輸送

 二酸化炭素(CO2)排出量削減の観点から、鉄道貨物輸送が見直されている。国土交通省は京都議定書の公約達成のために、自動車よりもCO2排出量の少ない鉄道、海運に貨物輸送をシフトするモーダルシフト事業を推進している。

 今年3月に閣議決定された「平成20年度改訂 京都議定書目標達成計画」では、モーダルシフトによるCO2削減量の目標値を、年間約210万t(2010年度)としているが、これは東京〜大阪間の高速自動車道を走行する大型トラックに換算すると毎日約6000台分が削減されることに相当する。これに先立ち、国交省は2004年12月から、経済産業省と連携して「グリーン物流パートナーシップ会議」を運営。先進的な取り組みや、それを普及・拡大する事業に対して一部補助を行うとともに、モーダルシフトの受け皿となる鉄道貨物輸送などの輸送力増強事業にも補助金を交付している。

 輸送機関別のCO2排出原単位を比較すると、鉄道は営業用トラックの約7分の1であり、鉄道がいかに環境負荷の少ない輸送手段であるかがわかる。また、近年の軽油・ガソリン価格高騰を受けて、コスト面でもモーダルシフトは大いに注目を集めている。このため今日では、多くの企業がトラック輸送から鉄道貨物輸送へのシフトを検討しているとの新聞報道を目にする機会も多くなっている。

 こうしたなかで、国内の鉄道貨物輸送を一手に引き受ける日本貨物鉄道(JR貨物)は、北海道・洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の開催を受け、2008年を「環境元年」と位置付け、モーダルシフト推進を訴えている。同社では、「地球温暖化を止めるため、鉄道貨物輸送はCO2削減に貢献しています」とのキャンペーンを新聞紙上などで展開し、モーダルシフト推進のPR活動を行っている。

 貨物列車は分刻みのダイヤで運行しているため、所要時間が正確に把握できるうえ、安全で環境にも優しく、道路渋滞の原因にならないなどのメリットがある。その半面、ドアツードアの輸送が可能なトラック輸送に比べると、駅から先の部分である輸送の両端を外部のフォワーダー(運送取次業)に頼らざるを得ず、短距離や小口の荷物ではトラックほど柔軟な対応ができないなどのデメリットもある。その意味で、鉄道貨物は短距離より中長距離、少量の荷物より大量の荷物の輸送に向いていると言えそうだ。

 事実、陸上貨物輸送における距離帯別シェアを見ると、近距離ではトラックが圧倒的に優位(ほぼ100%)。501〜1000kmでも鉄道貨物のシェアは7%にとどまるが、1001km以上の長距離になると、33%を鉄道輸送が占めている(JR貨物資料「平成17年度実績」より)。

 JR貨物総務部広報室の野口真一氏は、「当社としても、特に中長距離の輸送量を増やしたいと考えている。将来的には1001km以上の輸送距離におけるシェアを5割程度に伸ばしたい。鉄道貨物の伸びしろはまだまだある。地球温暖化防止の観点からも、環境負荷の少ない鉄道貨物輸送へのモーダルシフトが推進されることを大いに期待している」と語る。

 モーダルシフトを加速させるため、JR貨物は現在、幹線輸送力の拡大や駅の近代化、老朽化した機関車・貨車の取り替え促進、安全・安定輸送の確立などに力を注いでいるという。
 

■圧倒的に少ない鉄道貨物の二酸化炭素(CO2)排出

1tの荷物を1km運ぶ際に排出するCO2量の比較

CO2排出量を比較すると、鉄道がいかに環境負荷の少ない輸送手段かが一目瞭然だ(国土交通省「平成19年度 国土交通白書」を基に作成)
 

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