異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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2050年への革新技術-9

豊富なバリエーション武器に
世界一奪還狙う太陽光発電

取材・文/岸上祐子
2008年9月22日(月)公開
将来性の高い「薄膜系」

 低炭素社会の実現に向けて期待が高まる太陽光発電。だが、現在、その発電コストは約46円/kWh(全国平均)であり、経済産業省が2010年の達成目標とする、一般家庭用電力料金並みの23円/kWhと比較すると、まだ2倍の水準にとどまっている。しかも日本は、太陽電池の生産量こそ辛じてトップの座を死守したものの、累計導入量ではドイツに抜かれている。さらなる普及のための技術革新と体制整備が求められているなかで、経産省の「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」のロードマップでは、発電コストとして2020年には14円/kWh、そして2030年には7円/kWhをめざすとしている。

 発電コストの低下をめざすなかで現在注目されているのは、第1世代の結晶シリコンの太陽電池と比較して生産コストが低い、第2世代の太陽電池であるシリコン薄膜系太陽電池だ。シリコン薄膜系は単層ではエネルギー変換率が低いが、多層化によって変換率を大きく向上させることが可能となった。

 太陽電池に用いる半導体材料で分類すると、シリコンを使うものとガリウムヒ素(GaAs)などの化合物を使うものに大きく分けられる。また、シリコン系のなかでも、シリコンの結晶をスライス加工してウエハをつくるバルク系と、シリコンをガス化して基板に蒸着させる薄膜系に分けることができる。現在はまだシリコンバルク系が主流だが、「今後、有望視されるのはシリコン薄膜系」と語るのは、太陽光発電研究の第一人者である小長井誠・東京工業大学太陽光発電システム研究センター長だ。

 シリコン薄膜系のエネルギー変換効率はモジュールで10%前後、シリコンバルク系の15%前後に対し変換効率が3分の2程度にとどまっているのが現状。しかし、シリコン薄膜系のシリコン使用量はシリコンバルク系の100分の1にすぎず、急騰しているシリコン価格にも対応できる。また、シリコンバルク系と比べてシリコン薄膜系は製造工程がシンプルで、さらに現状の性能のものであれば、5m2規模の大面積の太陽電池をロール紙のように製造できるという強みもある。

 前出の「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」では、超高効率薄膜太陽電池として、2010年の製造コスト100円/W、モジュール変換効率12%に対し、2030年には製造コスト50円/W、モジュール変換効率18%を打ち出している。小長井センター長は、「2050年には変換効率40%をめざしている。材料選択や積層技術の研究余地がまだまだあるが、達成が不可能な値ではない」と力強い。
 

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