異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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環境・エネルギー課題解決のための賢人会議─3

ポスト京都−日本の戦略

効果的な対策のための冷静な分析を

 今回のハイリゲンダム・サミットの成果を見ますと、まず「環境」「経済」「エネルギー安全保障」の三つを鼎立させようという方向性が出されたことが挙げられています。そして、「ポスト京都体制はグローバルな参加、参加国の事情に応じた多様なアプローチが必要」、「気候系に危険な人為的悪影響を与えない濃度での安定化をコミットする。グローバルな排出増加を止め、その後大幅削減する」ということが出てきました。これは目標となる濃度を決めようということです。そして、「すべての主要排出国の参加を得て排出削減目標を決める」。これについては当然、目標となる濃度を決めてからになります。

山口光恒氏
山口教授は「温暖化問題はもちろんだが、世界の資源を有効利用するためには、優先順位が必要だ。環境と経済の両立に向けて冷静になれ」と締め括った。
 一方、「共通だが差異のある責任およびキャパシティ(対応能力)に応じた負担の原則」、「台頭する諸国には炭素原単位の改善を要求」については、絶対量ではないことに注意しないといけません。あとは、国連の枠組みで進めようといったようなことが文書には書かれています。また、排出権取引については「経済的手法、環境基準等の政策措置については各国が経験を交流」とあります。「今、こうすべきだ」ということは明記せず、国の事情に応じて考えればいいじゃないかということです。

 たまたま私は、このときに欧州にいたので、現地および米国での報道を注意して見ていました。まず、欧州での日本提案の受け取られ方は、「2050年半減を打ち出すことでEUキャンプに参加」というものです。ウォール・ストリート・ジャーナルには、欧州と日本は同じ立場だと書かれています。日本提案の核であるはずの「ポスト京都議定書の枠組み」については、まったく報道されていません。帰国して驚いたのは、日本が主導して事が運んだような報道がほとんどだったことです。このあたり、いろいろと考えさせられます。欧州の温暖化の専門家に聞いても安倍首相のスピーチ内容が十分に伝わっていません。官邸のホームページを見ても、首相演説だけは英語で載っていますが、付属資料はせっかく英語になっているのに掲載されていない。広報面で、もう少し頑張る必要があると思います。

 さて、ここまで地球温暖化の話をしてきましたが、世界が直面する問題は温暖化だけではありません。一つはエネルギーの安定供給。省エネルギーは温暖化防止にもつながりますが、石炭の使用はエネルギーの安定供給にはいいけれども、温暖化防止では問題がある。それからミレニアム開発目標の問題、つまり貧困、飢餓、教育、病気などの問題があります。お金を含めて世界のリソースは有限で、すべての問題を解決するには十分ではありません。温暖化問題だけにすべてを使うことはできない。「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」の選択が必要なことも事実です。こうしないと世界の資源の有効利用はできません。こういう文脈で温暖化問題を考える必要があります。

 1993年のウォール・ストリート・ジャーナルの記事に、国民の関心が土壌問題に集中したために、必要以上の費用が解決にかけられたということが載っています。実際は、土壌問題のリスクには、それほど大きなコストをかける必要がなかった。同じことを繰り返すのは、資源の無駄遣いです。関心の高いところにたくさん投資するのではなく、リスクの高いところに使うための分析が必要です。環境と経済の両立に向けて、われわれはもっと冷静に考えるべきだと考えています。
 

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