異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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特集

環境・エネルギー課題解決のための賢人会議─2

「課題先進国」日本の役割

未解決の難題を解き、世界のリーダーになれ!
基調講演/小宮山宏東京大学総長
主催:日経BP社(ECO JAPAN/日経エコロジー/日経ビジネス)
協賛:佐川急便ソニーTDK電気事業連合会東芝三菱電機ヤマト運輸(50音順)
取材・構成/保屋野初子、北原まどか 写真/川本聖哉
2007年6月21日(木)公開
モデルなき課題先進国・日本

 最近、私はことあるごとに「課題先進国」というキーワードで話をしています。これは、世界でまだ誰も解決したことのない課題が日本には溢れているという意味です。たとえば、夏になると顕在化するものに、ヒートアイランド現象がありますが、東京の気温は私が子供のころと比べて5〜6度は高くなっており、夜から明け方にかけては7〜8度くらい高くなっているのではないでしょうか。

 これほど高温化した都市は、世界でほかに例がありません。数年前、ヨーロッパを熱波が襲い、フランスでは、1万6000人もの人が亡くなりました。しかし、37〜38℃が1週間ほど続く熱波は、東京に住む我々からすれば大したことはないとも言えます。というのは、この熱波問題をフランスが解決するのは意外と簡単だということです。基本的に涼しくて乾燥しているヨーロッパでは、夏にクーラーをほとんど使わないし、クーラーもありません。それと、夏の間はお医者さんがバカンスに出かけてしまいます。この二つの要因で、1万6000人もの死者を出してしまったのです。つまり、フランスは温暖化、ヒートアイランド現象に対する途上国なわけです。ですから、この問題の先進国である国から熱波に対応するシステムを導入すれば解決するのです。

小宮山宏・東京大学総長
「日本は課題先進国であることを前向きにとらえて、世界の最先端を進むべき」と訴える小宮山宏・東京大学総長
 ところが、日本が今遭遇しているヒートアイランドは世界一ひどい現象なので、これをどのように解決するかというとき、どこの国を探してもモデルはありません。

 エネルギーの問題も同じです。日本は世界の中で最もエネルギー資源がありません。その他にも、廃棄物の増加、環境汚染、少子化、高齢化、といった多くの課題を抱えています。これらは、資源に乏しい狭い国土に、大きな人口と高度に産業化された経済を擁する先進国であるという日本の特徴ゆえの課題と言えます。つまり、他国を探しても、これらの課題を解決するモデルはないのです。近い将来、中国やインドが先進国の仲間入りをします。すると、そのときには、資源が乏しく人口密度の高い高度に産業化された先進国という状況が、世界中に訪れます。すなわち、現在の日本の姿は未来の地球の姿であり、日本が抱える現在の課題は、未来の世界が抱える課題であると言えるでしょう。日本は先進的に世界の課題を先取りしているのです。そういう意味で、私は日本を「課題先進国」と呼んでいます。
 

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