異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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環境・エネルギー課題解決のための賢人会議─2

「課題先進国」日本の役割

難題解決して世界のモデルに

 さて、最後に私自身の実験について報告いたします。私の家はオール電化ですが、年間の電気代が5万円で済んでいます。これは第一に断熱のおかげです。ちなみにクールビズにしようがウォームビズにしようが、何を着ていてもエネルギー消費には直接関係ありません。やるべきことは、家の断熱です。

 断熱材は壁にポリマーを発泡させたものを使い、空気の泡で家全体が覆われているような感じです。空気が不連続なので、室内の暖かく湿度の高い空気と外の冷たい壁が触れない構造です。ですから私の家では結露しません。ダニやカビの原因になる露が付かないのです。ガラスはもちろん二重ガラスです。断熱上一番効くのは二重ガラスです。環境を言う方は、新築する際には必ず二重ガラスにしてください。国が、新築の場合は必ず二重ガラスにという規制をかけてもいいくらいです。新築時ならば、それほど高くつくことはありません。

 そしてエコキュート、要するにヒートポンプ設備です。これは成績係数が4くらいになっていますから、たとえ発電効率が40%でも0.4×4で1.6。ガスでお湯を沸かす効率が0.8くらいなので、その倍くらいの効率でお湯が沸かせます。そういうものを装備して、私の家はエコハウスになったわけです。
 

■自ら建設したエコハウスでエネルギー節約を実践

エコハウス

エコハウス建設でエネルギー自給率60%、コスト年5万円に改善(小宮山宏・東京大学総長講演資料より)
 

 なぜこういう話をするかと言いますと、今やものすごい勢いで成長している中国が同じことを経験するからです。住宅は非常に大きな産業です。日本でアジア・モンスーン気候に合ったいい家ができたなら、それは一大産業になりうる。日本としては、それは自分たちの課題ですから、やるべきなのです。北海道ではどういう家がよいか、東京のいい家とは、新潟ではと、それぞれ違うはずで、そういった気候に適った家を作ることは、経済の面でもわれわれ自身のためにもなるのです。

 何度も言いますが、先進国とは自分たちの問題を自分たちで解決する国のことです。ドイツがかつてアスピリンなどを開発したのは、化学産業で世界に貢献しようと意図したわけでなく、自分たちの抱えている課題を解決するためでした。それが結果的に世界最先端の新しい化学産業というモデルとなって世界に出て行ったのです。英国の権利の章典、フランス革命もみな自分たちのため、やむにやまれずにやった成果物です。

小宮山東大総長
「課題先進国としての課題を解決し、世界のモデルになれ」と訴える小宮山東大総長
  われわれは「課題先進国」であって先進的に課題を抱えている。この問題を解決すれば、それは世界のモデルになりうる。21世紀の日本はようやくその立場に立ったわけです。今、世界はバイオエタノールと騒いでいますが、トウモロコシは食用と競合するので、食料の値段が上がってしまうのは当然でしょう。これまで食べていたものをエネルギーとして使い始めたら、消費量が10倍も違うのですからたちまち価格が上がる。したがってエネルギー源としては増産分しか使えないのです。

 では、増産できるのは何か。コメです。日本はコメをいち早くバイオマスとして考えるべきです。水田は2000年間、中国はもっと長いですが、劣化していません。トウモロコシなどよりずっと可能性があります。

 日本は「課題先進国」です。自分たちの課題を自分たちで解決するというマインドを持ち、「課題解決先進国」日本となって世界の先端に立ちましょう。そして知識が爆発的に増大している時代であるからこそ、大学の役割がますます重要となっているのです。
 

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