異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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インタビュー

日本鉄鋼連盟会長 馬田一氏[前編]

年間生産量が4億t超に。日米ロを凌ぐ中国鉄鋼産業

急成長のひずみが
温暖化を深刻にする

日本鉄鋼連盟会長
馬田一氏
聞き手/深尾典男、芦崎治 構成・文/芦崎治 写真/佐々木辰生
2007年6月28日(木)公開
日本の技術を適用すれば、鉄鋼生産だけでCO2が3億tも減る

──温室効果ガスを大幅に削減するために、省エネをはじめとする日本の技術力が役立つと言われています。日本の産業界からも、「技術での貢献」が何度も発信されていますが、具体的に、どの程度の効果が期待できるのでしょうか。

馬田一日本鉄鋼連盟会長(以下敬称略): 日本が保有する省エネ技術をうまく活用すれば、鉄鋼関連だけでも、世界中で温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量を年間 3億t削減できます。高炉で鉄を1t作るために、どのくらいエネルギーを消費するかを共通の計算方法で算出して、それを比較すると日本のエネルギー消費が一番少ない。日本の鉄鋼業のエネルギー消費量を仮に指数で100とすると、日本以外の国はみんな100を超えています。各国の鉄鋼業のエネルギー消費量を日本の技術を利用して日本と同等にまで下げたら、CO2排出量を3億t削減できる計算になるわけです。我々は、全ての環境・省エネ技術を開示する用意があります。

──鉄鋼生産に必要なエネルギーの量が、日本と諸外国の間で、なぜそれほど違うのでしょうか?

馬田氏
「日本の鉄鋼技術を世界が採用すれば、CO2が年間3億t減少する」と語る馬田一日本鉄鋼連盟会長
馬田: エネルギーを節約しようとすると熱効率を上げないといけないのですが、これは生産設備の規模に大きく左右されます。つまり、ある程度の規模のプラントでないと、省エネ効果が出ません。世界にたくさんの高炉があるなかで、現在、内容積が5000m3を超える高炉は14基しかありませんが、そのうちの11基は日本にあります。日本では小さな高炉でも3000m3、4000m3という規模があり、熱効率を上げやすい状況にあるわけです。

──2000年以降、中国の粗鋼生産量が爆発的に増えているのですが、その中国の状況はどうなのでしょうか。

馬田: 中国には約800社もの製鉄会社があります。先進的な企業はきちんと温暖化対策に取り組んでいると思います。しかし、他方で、中小のメーカーが数多く存在し、これらの高炉の多くは200m3、300m3といった小型の高炉が中心です。米国にしても、数百m3から2000m3程度の規模です。韓国でもポスコぐらいでないと内容積が4000m3級の高炉を持っていません。

──設備の大きさ以外にも、エネルギー消費を抑えるための工夫があるのでしょうか。

馬田: 省エネ設備の装備にも各国で大きな開きがあります。鉄鋼業の場合は、コークス製造、高炉、製鋼、圧延、加工と多くのプロセスを経て製品化されます。日本の場合、それぞれの工程で省エネ技術を完備しています。また、日本の鉄鋼プラントでは、生産工程の間を直結して、エネルギーがムダにならないように工夫しています。こうした様々な努力が総合されて、日本の鉄鋼業界がエネルギー使用量を低く抑えることができているのです。これまで培ってきた日本の技術を役立てることができれば、地球温暖化の進展にブレーキをかけることができると思います。
 

■日本の技術力が“世界標準”になれば温暖化対策も進む

一貫製鉄所のエネルギー原単位の国際比較

日本の製鉄所のエネルギー原単位を100としたときの国際比較(2003年に調査)。省エネでは、日本企業の力が群を抜いている
 

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