
明治神宮前駅の高効率ヒートポンプ。説明するのは山川智・業務部課長
今回、ヒートポンプ・蓄熱システムを導入した明治神宮前駅は、JR原宿駅に接続し、1日の平均乗降者数が約5万8000人と副都心線のなかでも標準的な規模の駅だ。地下約25mと、他の駅に比べて深めに新設されたホーム上層部の約800m2の機械室には、冷熱量が360kWのヒートポンプ5台と氷蓄熱システムが設置されている。空調設備の機械室を合わせると機械室の面積は1500m2にも及ぶ。
氷蓄熱槽に沈められた何本ものパイプのなかを、不凍液(エチレングリコール)を混ぜた水がヒートポンプによって氷点下5℃まで冷却された状態で循環し、パイプの周囲に氷が生成される。蓄熱槽の上から内部を覗くと、パイプの周囲に細かな氷ができており、指を入れると、冷たくて数秒もつけていられないほどだ。この冷熱を冷房用の熱源に利用するわけだ。

この太いダクトを通して、駅構内の熱を含んだ空気が運ばれてくる
地下鉄では暖房はしないという。地下にあることによる断熱効果に加え、「乗客1人が白熱電球1個分の熱を放熱しているため」だと、万谷課長補佐は話す。このため、今回導入したヒートポンプと氷蓄熱を使ったシステムは、5月から10月の半年間だけ運転される。それでも、このシステムの導入費は、10年で回収できると見込んでいる。
これまでにも、神戸市や福岡市の市営地下鉄、つくばエクスプレスなどの交通機関でもヒートポンプは利用されてきた。東京メトロでも、丸ノ内線の新大塚駅などのほか、2003年3月に延長された半蔵門線の清澄白河駅や住吉駅、押上駅などに導入されている。既存駅への導入には、機械室増設などのために一定のスペースが必要で、一気に広がることは考えにくい。一方で、エネルギーコストとCO2削減において導入のメリットは十分にあるため、「駅の新設などの機会に設置が増えるはず」と、財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターの山川智業務部課長は期待をかける。