インタビュー
バックナンバー
 

日本による「GAIATSU」に期待
米国は新大統領で動き出す

 

炭素に価格をつけることが気候変動政策を進める

エール大学森林環境学部長 ジェームズ・ガスターブ・スペス氏
スペス学部長は、「どの技術を選択すべきかは、市場に委ねるべき」と語る

 こうした技術変化を起こしやすくするためには、炭素に価格をつけ、しかもなるべく高価にすることです。炭素価格が高ければ、技術面でも、さまざまな開発や変化を起こす強力なインセンティブとして働くことになり、市場が適切な技術を選択することになります。技術の転換に向けてのよりよい方法は、個々の技術を意図的に取り上げるのではなく、市場に選択させることです。

 気候変動問題の解決策としてEUが力を入れている排出量取引に関して言うと、賛否はさまざまあって当然だと思います。排出量取引の形態にはいくつか種類がありますが、米国の電力会社同士で実施している硫黄酸化物(SOx)に関する排出量取引は成功している事例と言えるでしょう。この方法が、二酸化炭素(CO2)についてもうまく当てはまると考えたのだと思いますが、非常にトリッキーで、問題があるのはCDM(クリーン開発メカニズム)の存在です。コンセプトや追加性、リーケージ(漏れ)など条件が複雑すぎて、達成度を保証することが難しいためです。

 例えば、米国の電力会社が、インドネシアの森林再生(植林)プロジェクトに融資した場合に、電力会社は自国での削減をする代わりに、インドネシアの森林吸収でクレジットを得ることができます。それにより、その対象地域の森林は確保されるかもしれませんが、その隣の森林はインドネシアの伐採会社によって切られ、森林が消えるかもしれない。こういった現象を「リーケージ」と呼びますが、全体としてどのようなことが起こっているのか、何の保証もないわけです。森林の土地所有者が、クレジットが得られるのであれば森林を伐採しないというのはCDMとしてカウントすべきでしょうか。

 国際取引の側面には、逃げ道もあれば、乱用(悪用)されやすい部分もあります。排出量取引がうまく機能するのは、一つの国のなかであり、国際間のトレードでは多くの乱用が起こる可能性があります。EUや英国は、日本にも市場に参加するよう強力にプッシュしてきているかもしれませんが、その判断は慎重に行なわれるべきでしょう。
 

 
前ページ前ページ
 1   2   3   4 
次ページ次ページ
連続インタビュー 『脱CO2の時代へ』 バックナンバー
 
カテゴリ別記事一覧
インタビュー
導入事例(事業者)
導入事例(個人: エコハウス)
開発ストーリー
製品紹介
コラム
News & Topics
ヒートポンプとは?