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2008年7月17日(木)公開
取材/深尾典男・村上朝子
構成・文/村上朝子 写真/加藤康
昨年発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書は、建築物に起因する温室効果ガスの削減ポテンシャルが非常に大きいことを指摘しています。一方で、建築物は建てられている場所や使用目的、テナントなどの条件が異なり多種多様です。こうしたなかで、建築物の省エネを進める一番の方策は、新築物件に対する規制だと考えています。建築物は使用期間も長く、いま建設しているものは2050年にも使用されているはずです。それだけに、早急に対策を講じる必要があると思います。
建築物からの温室効果ガスを削減するうえで、規制と並んで重要なポイントは、建物の使用者が、その建物とそこに設置してある機器を理解し、エネルギーを効率的に使用することです。使用者が機器の使い方を理解せず、エネルギーをムダに使っているという例をいくつも見てきました。建物の使用者に適切な情報を提供し、正しい使い方を伝えることが非常に重要なテーマになります。
それぞれの機器を使う際に、どれだけエネルギーコストがかかるのかということについて、きちんと情報提供することも欠かせません。実は、建築物に関する省エネで難しいポイントはここなのです。建築物の場合、特に商業ビルやオフィスビルでは、建物を建てた人と使う人、あるいは建物を管理する人と使う人が異なる場合がよくあります。エネルギーコストを負担する人がエネルギーの使用者とは限らないのです。

「建築物の省エネを進める一番の方策は規制」と語るメイヤー氏
このことはホテルを例に取るとわかりやすいと思います。ホテルの場合、宿泊客などが直接、使用したエネルギー代金を支払うわけではありません。顧客の使用料も含めて、ホテル側が一括してエネルギーコストを支払うわけです。逆に言えば、ホテル側はコストを削減するために、さまざまな技術を駆使して省エネに努めますが、そのことは往々にして利用者には伝わらず、省エネ意識が途切れてしまうわけです。
これはほんの一例で、エネルギーに関する決定を下したり、エネルギー利用に投資したりする人が、実際にエネルギー料金を支払う人ではないことが多いのです。こうした事情を考えると、建物への省エネ機器導入を進めるには規制が必要だというのがわたしの結論です。