エコキュート開発物語 革新的給湯機はなぜ生まれたか 電力中央研究所・斎川路之上席研究員が明かす誕生秘話

開発物語 革新的給湯機はなぜ生まれたか 電力中央研究所・斎川路之上席研究員が明かす誕生秘話
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2008年4月7日(月)公開
取材/土屋泰一、藤崎典子 構成・文/藤崎典子 写真/新関雅士
 

「空気の熱でお湯を沸かす」給湯システムは
どこから生まれたのか

 テレビからは連日、省エネ製品のコマーシャルが数多く流れている。そんななか、誰でも一度は「エコキュート」という言葉を耳にしたことがあるだろう。エコキュートとは、電力会社と給湯機メーカーが共通で使用している愛称で、正確な名前は「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」である。電気エネルギーできわめて効率よくお湯をつくることができる給湯機だ。

 エコキュートの一番の特徴は、「空気の熱を使ってお湯をつくる」という、まるで手品のような給湯システムである。従来のようにヒーターで熱する方式とはまるで異なり、心臓部にあたる「ヒートポンプ」が外気の熱を汲み上げ、その熱を水に伝えてお湯を沸かすのだ。冷媒に使われるのは温暖化の原因でもある二酸化炭素(CO2)。エコキュートは、このCO2を「超臨界圧状態」という特殊な状態に保つことで、熱を水に移す熱伝達時にムダを出さないという優れた性質を持っている。東京電力の試算によると、従来の燃焼式給湯器に比べ、エコキュートはエネルギー消費量が約3割少なく、CO2排出量も半分になるという。

 そんな素晴らしいエコキュートの生みの親が、電力中央研究所の斎川路之さんだ。最先端のトレンドから、すっかりポピュラーなものとなったオール電化のキーワードは、「安心」「快適」「経済的」、そして「省エネ」だが、その主役に位置するのが、電気による給湯システム「エコキュート」である。

 エコキュートは、エアコンの室外機とよく似た外観のヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットからなる。心臓部であるヒートポンプがお湯をつくりだす基本的な仕組みは、

  1. ファンで外気を取り込み、その熱を熱交換器(空気用)に集めてCO2冷媒に伝える
  2. 熱を持った冷媒を圧縮機で圧縮し、さらに高温高圧にする
  3. 熱交換器(水加熱用)で高温高圧になった冷媒の熱を水に伝え、お湯をつくる
  4. 膨張弁で冷媒を低温低圧に戻し、外気の熱を奪える状態にして、再び熱交換器(空気用)に戻す

 となっている。つまりCO2冷媒は、ヒートポンプ内部を循環して膨張・収縮を繰り返し、お湯をつくり続けるのである。
 

■投入したエネルギーの何倍もの熱エネルギーを取り出せる

ヒートポンプの仕組み

気体は圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がる。また、熱は高い方から低い方へ流れるという基本原理がある。ヒートポンプは、熱力学のこの二つの基本原理を応用した技術で、冷暖房や冷凍・冷蔵など、家庭用にも業務用にもすでに広く用いられている。ここ数年の技術革新によってエネルギー効率が大幅に向上、従来の冷却用以外にも給湯や暖房へと用途が広がっている(出典:東京電力)
 

 エコキュートが商品化されたのは2001年5月。初年度売り上げは、約5000台だった。その後、国による購入者への補助金制度の導入やオール電化キャンペーン、環境問題に対する意識の高まりなどに後押しされ、2007年9月には、累積販売台数が100万台を突破した。ガス給湯器に比べると、決して安いとは言えない価格にもかかわらず、ここまでの伸び率は非常に高い水準を示している。
 

 
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