異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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最前線の挑戦者たち

東芝「大清快UDR」[前編]

省エネ大賞“常連”エアコン
封印した技術が息吹き返す

東芝ホームアプライアンス
エアコン技術部長
佐藤雄彦
写真・文/永井隆
2010年5月20日(木)公開
消費電力は“電球1個”分

 「電球1個分の消費電力か…。いいなぁ、そのアイデアは」

 プロジェクトリーダーの佐藤雄彦(たけひこ)がこう発した瞬間から、方向はほぼ決まった。

 「東芝のエアコンにとって、省エネ性能は最大の特徴なんだから」

 確認するようにゆっくりとした口調で、佐藤は続ける。異を唱える意見は出ない。

 「(45Wの)電球1個なら、消費電力は1時間1円程度で済みます」

 メンバーが発した何気ない一言に、佐藤はビビッドに反応したのだった。

 2008年が明けたばかりの1月3日。静岡県富士市の北部にある公共宿泊施設「富士ハイツ」の会議室。東芝のエアコン開発関係者が10人ほど集結していた。集まった目的は、2010年モデルの家庭用エアコン「大清快」を開発するためのチームビルディングだ。日程は1泊2日。富士市には、冷房機器の開発・生産拠点である東芝キヤリアがある。

 ちなみに、2010年モデルは2009年11月30日に、「大清快UDR」として発売される。

 正月3日のこの日、10人は全員私服。会議の前半では、設計の責任者である佐藤と商品企画担当の枦山智(はぜやま・さと)との間で“応酬”があった。前年の2007年モデルを巡ってのものだ。

 「これだけ省エネ性能の高い製品を作っているのだから、もっと省エネの良さを訴求して欲しい」「ライバル社は工夫している…」「消費者への伝え方が、売れていくポイントだろう。ウチはどうなんだ」

 枦山も負けてはいない。商品企画の事業部は東京が拠点。横浜の自宅から枦山は帰省ラッシュが始まった新幹線に乗り込んで駆けつけていた。

 「製品設計のみなさんが良いと思う商品が、必ず認められるとは限らないのです」「お客さまが何を求めているのか、みんなでもっと販売現場を知る必要があると思います」「だから、電球1個とか、分かりやすく伝えるんだよ…」

 毎年のことだった。前年モデルの反省から入る。

 だが、2008年1月3日のビルディング合宿には、例年とはひと味違う大きな期待感と緊張感とが交錯していた。

 なぜなら、東芝キヤリアが開発した“特段の省エネ技術”が、2010年モデルへの搭載が決まっていたからだ。

 整理すると、既に開発が動いていた2009年モデル(2008年12月に発売)に続く、本格的な搭載だった。

 いや、実は「再搭載」というのが正しい。

 その技術は2004年モデル「大清快」に一度は搭載され、省エネ大賞(資源エネルギー庁長官賞)まで受賞した。なのに、2005年モデルから2008年モデルまで、技術は封印され休止されてしまっていたのだ。
 

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