異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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最前線の挑戦者たち

東芝「大清快UDR」[前編]

省エネ大賞“常連”エアコン
封印した技術が息吹き返す

そして人気ナンバーワンのエアコンに

 2003年夏の某日、夕刻。富士市内のやや高級な割烹(かっぽう)料理店に5人はいた。開発の“打ち上げ会”である。地元の名物である桜エビのかき揚げなど、ご馳走が次々と運ばれる。

 ビールで乾杯し、笑い声が飽和し、刺身の大皿は空になった。だが、しばらくすると静かな時間が訪れる。5人の中には、感涙する人もいた。やり抜いた者、達成を果たした者のみが許される、特別な時間だった。

 もちろん、2004年モデルだけでデュアル搭載機が販売中止になることも、2009年モデルから復活していくことも、この時は誰も想像はしていなかったのだが。

 2008年6月。佐藤雄彦は、部下の女性エンジニアからたしなめられていた。

 「電球1個っていう表現では、ダメですよ。技術屋の発想です。消費者の目線に合わせなければ、どんなに良い技術でも買ってもらえません」

 女性エンジニアは、いわゆるアラフォーの主婦だ。

 「そうかぁ、じゃあどうすればいいんだ」

 「エアコンですから、扇風機はどうかしら。電球よりは、連想しやすいでしょう」

 「確かに。しかし、扇風機の消費電力はどの程度なのだろう。種類もたくさんあるだろうが、電球と同じく1時間1円に相当する45ワットが理想なんだが」

 「わかりました。私、帰りにヤマダ電機に寄って、それらしいのを買ってきます。明日、実験室で計測してみましょう」

 「悪いねぇ、そうしてくれるか。助かるよ。ウチは、訴え方があまり上手ではないようだな」

 「2004年のデュアルを搭載した大清快には、エコランプがありました。あの時代では、エコという表現は、どうだったかしら。消費者にとって」

 「いまなら、エコは当たり前だが、ウチはどうしても早すぎるようだな」

 女性エンジニアは扇風機を購入。翌日計測すると、電球と同じ45Whだった。この日を境に、「電球並み」という表現は「扇風機並み」に変わった。

 2009年11月30日の発売に向け、デュアルを搭載した「大清快UDR」の開発は、佳境へと入っていく。

家庭用扇風機並みの45Wの最小消費電力運転ができる「涼風運転」を実現
家庭用扇風機並みの45Wの最小消費電力運転ができる「涼風運転」を実現。1時間当たり1円で冷房運転できる

 さて、家庭用エアコンの国内市場規模は年間で700万台前後。ビールと並ぶ夏場商品であり、夏が暑いかどうかで売れ行きは左右される。2009年度は冷夏に見舞われたため、前年度より10%程出荷台数は落ちて670万台強だったと見られる。

 商戦は毎年、5月から本格的に始まり、ピークの6月、7月に続く。筆者は5月15日、土曜日の午後、JR高崎駅東口にあるヤマダ電機本社を併設する「ヤマダ電機LAB1高崎」を訪ねた。1階の入り口から入ってすぐにエアコン売り場がある。晴天の週末だけに、結構、混んでいた。高級機種である「大清快UDR」は、エアコン売り場のほぼ中央に展示してあった。

 しかも、「4.0kWクラス人気NO. 1」と手書きの宣伝文句が付けられていた(4.0kWは主に14畳用)。ちなみに、「同人気NO. 2」はパナソニックの「エアロボXシリーズ」。販売員がやってきて、「大清快UDR」の売価は、店頭表示よりも6000円安い「19万円です」と話していった。一方、「エアロボ」は20万円。販売員は、大清快の1シリンダーによる省エネ運転について簡潔に説明してくれた。

 大規模店1店舗だけではすう勢は読めないが、とりあえず「大清快UDR」の立ち上がりはそう悪くはないようだ。いずれにせよ、エアコン商戦は、今年も本番を迎えていく。
 

永井 隆 氏 著作
永井 隆 氏 著作

永井 隆 氏永井 隆 氏
(ながい たかし)
ジャーナリスト

1958年生まれ。群馬県桐生市出身。明治大学経営学部卒業。東京タイムズ社経済部で記者をしていた。1992年8月、販売不振から同紙が突如休刊し、失業を経験。その後はフリージャーナリストとして活躍。

著書は『人事と出世の方程式』(日本経済新聞出版社)をはじめ、『技術屋たちの熱き闘い』(日本経済新聞社)、『技術屋たちのブレークスルー』(プレジデント社)、『「軽」ウォーズ戦陣訓』(同)、『現場力』(PHP研究所)、『敗れざるサラリーマンたち』(講談社)、『ビール最終戦争』(日本経済新聞社)、『ビール15年戦争』(同)、『リストラに克った』(同)、『一身上の都合』(ソフトバンク クリエイティブ)、『「人事破壊」後』(徳間書店)、『得な資格 損な資格』(廣済堂出版)など多数。本連載の一部は『国産エコ技術の突破力!』(技術評論社)として、2009年10月1日に出版。

1998年2月から日刊現代にて酒のコラム『グラスの中の経済学』を連載中。2005年から明治大学が発行する雑誌『明治』編集委員。

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