異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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最前線の挑戦者たち

日本コカ・コーラ「い・ろ・は・す」[前編]

発売後半年で2億本のメガヒット
「環境は売れない」の常識を覆す

その瞬間、会場から驚嘆の声

 10月に入ると、グループ内のボトラー会議が都内のホテルであった。

 コカ・コーラウエストや三国コカ・コーラボトリングなど全国12社のボトラーの社長から同じく現場の若手まで、何百人もが出席する重要な会議だった。

 新商品開発の進捗(しんちょく)状況を発表する予定になっていた福江は、前夜ホテルに泊まる。コンビニでライバル社のミネラルウォーターをすべて買い込み、同時にペラペラのペットサンプルを多数、部屋に持ち込む。

 まず、熱いシャワーを浴び、頭の中を整理する。

 パンツ1枚で出ると、大きな鏡の前に立つ。深呼吸を1回する。やがて、ペットのサンプルを一つずつ潰し始めたのだ。雑巾(ぞうきん)のようにしぼったり、両手で押さえつけてみたりと。

国内最軽量12gのペットボトル「ecoるボトル しぼる」
国内最軽量12gのペットボトル「ecoるボトル しぼる」(520ml)を採用。コカ・コーラシステムの従来品比40%軽量化を実現。「日本生まれの天然水を、おいしく飲み、しぼって(つぶして)、リサイクルする」という、簡単な環境アクションを提案した

 一人しかいない部屋には、容器が潰れる音が小さく響く。

 翌日のボトラー会議の壇上で、福江は容器を潰してみようと考えたのだった。どう潰したなら、カッコ良く見せられるのか、鏡に向かい練習したのである。

 その姿は、マーチン・スコセッシ監督の映画「タクシー・ドライバー」での、ロバート・デ・ニーロにも似ていた。ただし、手にしていたのはマグナム44ではなく、ペットボトル。悪の巣窟(そうくつ)に殴り込みをかけるデ・ニーロではなく、エコに切り込むサラリーマンの姿がそこにあった。

 翌日の会議、発表をしながら、予定通り福江はペットをしぼって潰す。グシャッと。前夜の練習通りに。

 「オー!」。その瞬間、会場から驚嘆の声が響き合った。

 しぼったばかりの雑巾のようになったペットボトルを右手で掲げたときに、福江はこれを採用しようと決めていた。

 発表後も、福江の元には「潰してみたい」という出席者が相次ぐ。

 「これはいける!」。福江は勝利に一歩近づいた。
 

永井 隆 氏 著作
永井 隆 氏 著作

永井 隆 氏永井 隆 氏
(ながい たかし)
ジャーナリスト

1958年生まれ。群馬県桐生市出身。明治大学経営学部卒業。東京タイムズ社経済部で記者をしていた。1992年8月、販売不振から同紙が突如休刊し、失業を経験。その後はフリージャーナリストとして活躍。

著書は『人事と出世の方程式』(日本経済新聞出版社)をはじめ、『技術屋たちの熱き闘い』(日本経済新聞社)、『技術屋たちのブレークスルー』(プレジデント社)、『「軽」ウォーズ戦陣訓』(同)、『現場力』(PHP研究所)、『敗れざるサラリーマンたち』(講談社)、『ビール最終戦争』(日本経済新聞社)、『ビール15年戦争』(同)、『リストラに克った』(同)、『一身上の都合』(ソフトバンク クリエイティブ)、『「人事破壊」後』(徳間書店)、『得な資格 損な資格』(廣済堂出版)など多数。本連載の一部は『国産エコ技術の突破力!』(技術評論社)として、2009年10月1日に出版。

1998年2月から日刊現代にて酒のコラム『グラスの中の経済学』を連載中。2005年から明治大学が発行する雑誌『明治』編集委員。

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この記事の目次
日本コカ・コーラ「い・ろ・は・す」[前編]
発売後半年で2億本のメガヒット
「環境は売れない」の常識を覆す

CO2削減技術 省エネルギー

エネルギー消費 家庭部門