異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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2020年の主役を追う

「発電する宝石」が創る未来[前編]

熱を電力に変える高効率材料の“発見”

原子を一層ずつ積み重ね、きれいな結晶をつくり出す

 きれいな結晶を作るための、この業界での定番の手法が「パルスレーザー堆積法」という方法。生半可な高温では蒸発などしない安定した物質を、高出力のレーザーを当てることで蒸発させ、舞い上がった原子を、極めて清浄に表面を整えた基板(サブストレート)の上に堆積させていく、という方法だ。

 基板に熱をかけながら堆積させることで、原子は安定な場所に移動し、整然とした結晶が一層ずつ積み重なっていくのだと言う。パチンコ玉の入った箱を揺すって表面をならすのとは、かなりレベルの違う話だ。
 

チャンバー
チャンバー
チャンバーの外観と、窓から内部をのぞいたところ。右下にある青い炎のような煙が、高出力のレーザー光で蒸発・プラズマ化した物質。それに対向する天井の位置で赤熱しているのが、蒸発した物質を堆積させるための基板(サブストレート)
 

 そうしたすべてが起こっているのは、研究室に置かれた銀色の容器(チャンバー)の内部である。分厚いガラスの窓越しに中身をのぞき込んでみると、「バババババ」という断続音とともに、青い火花のような、もやもやした煙が立ち昇っている。高出力のレーザー光を毎秒10回、ターゲットとなる物質に当てたその蒸気が、青い煙のように見えているのだ。

 その“煙”は、数センチ離れて置かれたガラスのような基板の表面にわずかずつ堆積していくが、もちろんそれを肉眼で見ても何もわからない。

 だが、堆積する表面にナナメに電子線を当てながらその反射を見ることで、結晶の層が、いま何層積み上がっているのかを、リアルタイムで知ることができるのだと言う。さらに、取り出された試料は、原子レベルの凹凸を見分ける細い針を持つ原子間力顕微鏡(AFM)という装置で表面をなぞり、その平滑さを確かめることもできる。

計測
出来上がった試料をさまざまな視点から計測。太田准教授のホームページはhttp://www.apchem.nagoya-u.ac.jp/BS-6/seigyo6/hiromichiohta/index.html

 クリーンルームでもなく、白衣も着ていない学生たちが研究に取り組むのは、モーターがガチャガチャ動き、電磁ノイズが発生するロボットの実験室の隣に設けられた研究室。そこで原子を一層ずつ基板に塗り重ねるように成長させ、コントロールすることに成功している!

 さも当然のように語る太田准教授の話を聞いているときは「ふうん、そんなものか」と、思っていたが、後で写真を見直し、その言葉を反芻したときに、改めて驚きに襲われた。
 

喜多充成 氏喜多 充成 氏 (きた みつなり)
科学技術ジャーナリスト

1964年石川県生まれ。金沢泉丘高校卒、慶應大学経済学部中退。ノンフィクション作家の山根一眞氏に師事。「情報山根組通信兵」と呼ばれパソコン通信とモバイルコンピューティングの普及期に活躍。インプレス社『インターネットマガジン』(94年創刊〜06年休刊)のレギュラー執筆者として、インターネット黎明期の企業のホームページ利用や、ブロードバンド社会を支える裏方の技術などにスポットを当ててきた。事件、事故、有名人、災害などを扱う総合週刊誌のニュースグラビアページで署名記事を書く。宇宙開発分野にも明るく宇宙航空研究開発機構(JAXA)の子供向けWEBサイト「JAXAキッズ」(03〜07年)で、大人も楽しめるニュース解説ページを担当したほか、同機構の機関誌「JAXA's」のレギュラー執筆者でもある。また山根氏の「メタルカラーの時代」を91年の連載開始から終了までサポート、産業技術や先端技術についての幅広い知識をバックグラウンドとし、難解なテーマを面白く解きほぐして伝えることに情熱を燃やす。

http://www.mkita.com

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