異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
今回のテーマ
温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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2020年の主役を追う

マグネシウムサイクルを目指して[前編]

太陽光を濃縮し、
無尽蔵のエネルギー引き出す

集光された太陽光をもう一段“濃縮”する

 神事に続く装置のお披露目では、ちょっとワクワクするようなデモンストレーションが参列者を釘付けにした。
 

集光装置

2m角の平面レンズによる集光装置が、追尾機構のフレームに載せられている。この他、別のタイプのフレームに装着された集光装置が2基ある
 

 取り出したのは何の変哲もないステンレスの板。その一端をペンチではさみ、集光装置の焦点にもっていく。日光の覆いを取り外すと、まばゆい光が板の表面に集中し、あっという間に白煙が。1分を経ず取り外し、まだ煙を放つ板を高くかざすと、板にはクレーターのような黒い焼けこげ。そして中央に、青空が透けて見える! 太陽の熱がステンレスを溶融させ、板に穴を開けてしまったのだ。

フレネルレンズ
集光のためのフレネルレンズ。同一の金型で製作した1m角の平面レンズ4枚を1セットで使用
 
ステンレス板からみるみる発煙
集光された太陽光が焦点を結び、焦点面に置かれたステンレス板からみるみる発煙
 

ステンレス板に穴が
穴が!
 
ステンレス板に穴が
1500℃超にまで温度は上がっていることは確実。泡状の模様も見えるのは、おそらく気化した成分があるから
 

 誰しも経験があるに違いない、雑誌の付録の小さなレンズで紙を焦がしたり、虫メガネで虫を焼いたりしたことが。もっと大きなレンズを使うとどうなるのかと思っていたが、レンズ面積を4m2(1m角のフレネルレンズ×4枚)にスケールアップすると、これほどのことが起きてしまうのだ。実証実験の成功を予感し、祝賀会場は拍手と歓声に沸いた。

 鉄を溶かすほどに集光された太陽光、これを熱源として利用するのでなく、もう一段“濃縮”するためにレーザー光に変換するのがこの装置のミソである。

 焦点に置かれた、茶筒ほどの円柱形のケース「レーザー発振部」に太陽光を導き、その内部にある直径1cm弱の千歳飴のような「レーザー媒質」に当てる。するとレーザー媒質の内部で、クロム、ニオブ、イットリウム、アルミニウムなどの元素が量子力学的に相互作用を及ぼし合い「波長と位相の揃った光」すなわちレーザー光が発生するのである。

発振部
レーザー媒質(中央のガラス棒)を収めた「発振部」。内部には冷却水を循環させる
 レーザー光は単色光なので、自然界の光よりもはるかに小さな焦点を結ばせることができる。CDやDVDが大量の情報を記録できるのもこの性質を利用して、いわば細い筆で細かい字をたくさん書くから。そして小さな焦点、つまり一点に集中させたエネルギーは、従来は不可能だった、別のことも可能にしてくれる。

 絞り混んだレーザー光を真空容器の中で、酸化マグネシウム(MgO)に照射すると、元素間の強固な結合が外れ、金属マグネシウム(Mg)が産生する。化学反応でいうと「還元」、鉱業でいう「製錬」の工程に相当するプロセスだ。

 太陽光をレンズで集光しても、焦点の温度を太陽表面の温度(約6000℃)以上に上げることは不可能だが、いったんレーザー光に変換して絞り込むことで、マグネシウムの還元を可能にするほどの高いエネルギー状態(2万℃に相当)が実現する。鉱工業的に複雑なプロセスや特殊な触媒を必要としていた製錬が、これで一気に完了してしまうわけだ。
 

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荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
マグネシウムサイクルを目指して[前編]
太陽光を濃縮し、無尽蔵のエネルギー引き出す

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温暖化の影響 教育問題/市民生活