異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

山根一眞の『The環業革命』

天空の観測が見出す地球規模の変動[前編]

ヴィシュヌ神が宿る天空の山麓で
成層圏の「天使のこだま」を観測

2007年9月18日(火)公開
天空を仰ぎ祈る土地で観測される大気圏のデータ

 8月下旬、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長に会うため、インドを訪ねた。11月に東京で開催される 「環境・エネルギー課題解決のための賢人会議」 の事前取材が目的だった。議長のデスクの後にはヒンズー教の神々の世界を描いた額絵が架けてあり、議長は、「こういう自然を尊ぶ神々の世界を大事にしていた思想が、インドでも希薄になっている。こういうことも温暖化の原因だと思う」と口にした。

パチャウリ議長
IPCC議長のパチャウリ博士は、「自然を尊ぶ世界観がインドでも薄くなってきた」と話す
山根一眞の『The環業革命』写真館へ

 だが、ヒンズー教の信仰心は、日本では想像もできないほど、まだまだ強い。その象徴が、インド南部の険しい山の上にあるベンカテシュワー寺院だ。インドでは知らない人はいない聖地で、祈願が成就しないことはないとされるため、世界ではバチカンに次ぐ献金(お賽銭)を集める寺なのだという。ご神体のヴィシュヌ神はムクの黄金の本殿に祀られており、わずか数秒間の参拝のために、1〜2日間も行列をしなくてはならない。高野山のような山上の寺町には、全インドからやって来る信者、常時5万人が参拝を待っている、とも。

 この寺院がある山は、インド南部、アーンドラ・プラデーシュ州の小さな町、ティルパティに近い。ニューデリーから“各駅停車”の飛行機でそのティルパティ空港に降り立ったのは、パチャウリ議長に会った翌日だった。人々が天空を仰ぎ祈る土地、その山麓に高度100kmもの天空、希薄な大気圏に電波を送り地球温暖化の研究に欠かせない観測を行っている研究施設があると聞いて、出かけたのである。

 ティルパティ空港で出迎えてくれたのは、京都大学生存圏研究所副所長の津田敏隆さん(大気圏精測分野教授、開放型研究推進部部長)だった。津田さんは、インドの若い研究者の指導を行うために定期的にここを訪ねているのである。

 ティルパティから、あの神々の山並を右手に見ながら東に約30km。向かったのはインド宇宙研究機関(ISRO)の一機関、インド国立大気科学研究所(NARL)だった。静かな美しい田園地帯にある研究所のゲートを入ると、「モォー、モォー」と響き続ける牛の鳴き声のような音に包まれる。電波と音を大気圏に送り、観測を行っているのだという。この日は、津田さんが指導しているT. V. C. サルマ研究員の72時間連続観測の最終日。ニューデリーを早朝に出たのだが、ここにたどり着いたのはやっと夕方だったが、滑り込みセーフで観測の様子を見ることができた。
 

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荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
天空の観測が見出す地球規模の変動[前編]
ヴィシュヌ神が宿る天空の山麓で
成層圏の「天使のこだま」を観測

温暖化の影響 温暖化の検証