異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

山根一眞の『The環業革命』

日本発の技術が実像を結ぶ[前編]

ホントの大量排出国はどこか?

2007年5月31日(木)公開
世界中の二酸化炭素濃度を3日ごとにチェック

 二酸化炭素の排出削減は温暖化防止の最大のキーだが、実は、各国、各地域がどれだけの二酸化炭素を排出しているのか正確なデータは得られていない。京都議定書では批准各国の排出削減量を明記しているが、その元となる排出量は、化石燃料の消費量などにもとづく推定値にすぎず、森林やサンゴ礁など二酸化炭素の吸収源の正確な観測データも得られていない。二酸化炭素の削減が火急の課題なのに、これは驚くべきことと思う。

 もちろん、大気中の温室効果ガスの測定は行われてはいる。WDCGG(世界気象機関・全球大気監視計画・温室効果ガス世界資料センター)にその観測データを継続的に提供している地上の観測所は67ヶ国337地点(2007年5月29日現在)にすぎない。
 

■日本の温室効果ガス観測所と観測期待の種類

日本の温室効果ガス観測所と観測期待の種類

WDCGGに観測データを提供している日本の観測所は14ポイントのみで北陸、近畿、四国、九州などには観測地点はない。また、観測気体の種類も異なりデータの統一もされていない。(WDCGGのデータをもとに山根が作成)
 

 世界の観測所設置場所地図を見ると、日本の観測所は14ヵ所という淋しさだし、ロシア、中国、アフリカ、南米、オーストラリアなどでは空白地帯が多く、二酸化炭素の吸収源であるとされる海洋上での観測ポイントもごくわずかであることがわかる。

GOSAT
GOSATと「地球シミュレータ」が温暖化の真相を明らかにする(JAXA提供の図版を一部改変)
山根一眞の『The環業革命』写真館へ
 そこで、地球規模で緻密な温室効果ガスの観測を宇宙から行おうという計画が進んでいる。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と環境省、国立環境研究所が2008年の夏に打ち上げる準備を進めている温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(Greenhouse Gases Observing Satellite)だ。

 GOSATは高度660kmの軌道上で100分間で地球を1周し、地球表面を180kmメッシュで区切った5万6000地点の二酸化炭素とメタンの濃度を測定する。しかも、同じポイントの観測は3日ごとに行われる。私はこのGOSAT計画に感銘し、数年前から取材を続け、プロジェクトマネージャー、浜崎敬さんとの対談を拙著『メタルカラー烈伝温暖化クライシス』にも収載した。先日、その浜崎さんに伺ったところ、近々、海外の研究者向け「リサーチ・アナウンスメント」を発出するという。これを聞き、いよいよ運用の準備に段階入ったなという思いがした。

 GOSATを支える日本側の研究者は、最近GOSATのチーフ・サイエンチストに就任した井上元さん(名古屋大学大学院環境学研究科教授、元・国立環境研究所、やはり対談を同拙著に収載)など約40名だが、地球規模の観測であるためGOSATの運用には海外の研究者の協力が不可欠だ。とりわけ大事な作業が、衛星が得たデータを地上の観測点での観測データと突き合わせていく「校正(キャリブレーション)と検証(バリデーション)」だ。その作業で海外のセンサー開発エンジニアや温室効果ガスの観測研究者たちの協力を得ようとしているのだという。
 

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