異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

山本隆三の『市場が解く? 地球温暖化』

再生可能エネルギーは本命か
複雑な日本の送電網が抱える課題

2011年3月22日(火)公開
高コストの再生可能エネルギー

 3月11日に発生した東日本大震災により被災された方に衷心よりお見舞いを申し上げます。震災からの一刻も早い復興を祈っております。

 今回の地震と津波により東北電力と東京電力の発電設備に大きな被害が生じた。日本では、燃料を輸入することが必要なために、多くの発電所は海岸沿いに立地されている。特に茨城県から青森県にかけては新地、常陸那珂、原町などの火力発電所、女川、東通などの原子力発電所が数多くあり、すべての発電所が大きな被害を受けた。このため、東北電力と東京電力では十分な電力供給ができない事態になった。

 富士川を境にサイクルが異なることから、西側から東電管内に送電可能な電力量は限られている。今回のように隣接する電力会社の設備も被害を受けると、十分な電力量を確保することが困難になる。

 日本の電力業界の送電の質は世界一と言われているが、日本列島の地理的な問題から送配電の柔軟性が制限されている。米国、欧州のように網の目のネットワークであれば、もう少し柔軟な形の電力供給が可能だ。

 この日本独特の送配電網の形は、今後、温暖化対策として再生可能エネルギーによる発電を導入する際、コスト増を招くことになる。

 再生可能エネルギーによる発電は二酸化炭素(CO2)を排出しないこと、そして、エネルギー自給率の向上に結び付くことから、温暖化問題が注目を浴びるようになって以来、多くの国が導入を促進する政策を取っている。環境・エネルギー政策に加え、風力発電あるいは太陽光発電設備の製造を促進する産業政策の狙いも当然ある。

 しかし、再生可能エネルギーは自然条件に左右され、常に発電することはできないことから、安定的な電力供給源としての期待はできない。例えば太陽光発電の稼働は日照に左右され、設備をいつでも利用できるわけではない。その稼働率は日本では12%程度、ドイツの実績で10%弱、日照時間が長いスペインの実績で25%だ。 

 夜間、雨天など太陽光による発電が極端に落ち込む時間帯に電力を供給するには、非常に価格の高い蓄電池を用意するか、常に予備の電源を確保しておく必要がある。また供給不足を引き起こさないために、瞬時に供給を切り替える必要があり、送配電網に負荷がかかることになる。温暖化対策の面では効果のある再生可能エネルギーだが、導入は簡単ではない。

 再生可能エネルギーの導入支援のため、スマートグリッド(次世代送電網)と呼ばれるIT(情報技術)を利用した双方向の需給調整が期待されている。しかし、スマートグリッドを導入したからといって、解決する問題でもない。再生可能エネルギーによる電力供給の中断に備え、蓄電池や火力発電所などによる供給が必須だ。当面、バックアップとして頼れるのは火力発電所だ。
 

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この記事の目次
再生可能エネルギーは本命か
複雑な日本の送電網が抱える課題

エネルギー技術 原子力発電/太陽光発電/風力発電/バイオマス発電/再生可能エネルギー

エネルギー政策 日本/米国

エネルギー消費 家庭部門