異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』

国際航空部門における論議とEU ETS[後編]

セクトラルアプローチ拡大に向け
日本は陸海空総動員の戦略で挑め

2011年3月28日(月)公開
EU ETSの適用拡大問題(1)

 昨年12月、本コラムでは「セクター別アプローチ」へのヒントという観点から、国際海運における経済的削減手法について 検証をした 。そして、それと同様の観点で、国際航空部門における取り組みを紹介している。ここまでは、現状と問題点、国際民間航空機関(ICAO)総会における決議の内容について説明してきたが、今回はEU ETS(欧州排出権取引制度)の適用拡大問題から論じる。

(1)国際航空輸送に対象を拡大するEU指令の概要

 ICAO総会でのテーマのうち、経済的手法に関する論議の焦点となったのは、他国航空会社へのEU ETS適用問題である。

 2008年11月19日にEU(欧州連合)は、EU ETSの対象に航空分野を加える指令を 採択し、2012年1月からEU域内(正確にはノルウェーなどEU以外の欧州地域も加わっている)発着のすべてのフライトを対象に、EU ETSが適用されることが 決まった (ただし、軍事用など特殊目的のほか、対象となるフライトの年間排出量が1万t以下、あるいはEU発着の国際航空輸送回数が一定規模以下である会社は対象外、後者は途上国の反対を抑えるための条項)。これにより、EU発着のEU域外航空会社のフライトも対象となる。

 指令によれば、対象航空会社(EUの航空会社も含む)の排出総量(キャップ)は、2012年については実績排出量の97%、2013年以降は(特段の修正がない限り)95%である(指令3条c、1および2)。ここでの実績排出量とは、2004〜2006年の3年間の平均を指す(同3条bのs)。従って、大まかにいえば2005年比3〜5%減である。

 この排出総量のうち15%はオークション(同3条d、1および2、ただしオークションの割合は、将来的に引き上げの可能性がある)、残りが無償配分となる(厳密には、新規参入者などに備えて3%の特別枠が取り置かれる。3条f)。この航空会社への無償配分のベースは、輸送実績(旅客および貨物の輸送重量に輸送距離を乗じたもの)である。ICAO第37回総会に提出したEUの文書で、「排出実績」ではなく「輸送実績」としたのは、既に新鋭機の導入などにより、排出削減に努めてきた航空会社が不利にならないための措置であるとしている(A37-WP/108、3ページ)。

 ただし、ここには燃費効率のベンチマークのような効率基準は入っておらず、次の期間での無償割り当てを増やすために、旅客や貨物輸送量を増やすという非効率を生じる恐れがある点を指摘しておく。

 それはともかく、これに伴い各航空会社は、毎年、検証を受けた輸送実績などの詳細を報告することが必要になる。航空会社からすると、有償配分による追加コスト、燃費改善にかかるコスト、さらに航空輸送の増加が予測されるなかで増加分を国際航空輸送部門以外のセクターから購入するコスト、そして膨大な事務手続き(指令Annex参照)などのコストが上乗せされることとなる。

 違反の場合には運航禁止もあり得る。これはICAO第37回総会の決議A37-19、14項、すなわち、国際航空を既存の経済的手法の対象とする場合には、ほかの締約国と合意に達するべく2国間あるいは多国間で協議・交渉を行うよう要請するとの条項に違反するとともに、締約国間の差別を禁止するシカゴ条約にも反する恐れのある内容である(ただし、EUは総会決議のこの条項には留保を付している)。こうしたことから、米国の定期航空会社の団体である米航空輸送協会(ATA)が、EUを相手に訴訟を起こした。
 

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この記事の目次
国際航空部門における論議とEU ETS[後編]
セクトラルアプローチ拡大に向け
日本は陸海空総動員の戦略で挑め

エネルギー消費 交通・運輸

国際交渉 COP/UNFCCC

国際協力 排出量取引/セクター別対応