異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

植田和弘の『地球温暖化防止の環境経済学』

グローバル・イシュー解決のために

ジェフリー・サックスが示した
協力原理の国際社会

2009年10月15日(木)公開
公共政策の重要性を指摘

 現在、国連ミレニアム・プロジェクトのリーダーでコロンビア大学地球研究所所長を務めるジェフリー・サックスが著した注目すべき書籍が翻訳され、多くの日本人の目に触れることができるようになったのは喜ばしい。邦題は『地球全体を幸福にする経済学』(野中邦子訳、早川書店)であるが、原題は『Common Wealth: Economics for a Crowded Planet』である。

 地球温暖化問題はいわゆるグローバル・イシューの典型であると言われる。サックスは、貧困の罠(わな)やエイズ、マラリアなど、国際的な解決が求められる問題を手掛けてきた(ちなみに、サックスの前著は『貧困の罠――2050年までに世界を変える』である)が、本書においては気候変動問題を含めたグローバル・イシューの問題構造と、その解決を図る処方せんを正面から扱っている。

 サックスは、今の世界の「環境、人口、経済のあり方は持続可能とはいえない」と診断しており、現状維持を続ければ、社会と環境は危機に陥り、悲惨な結果を招くと指摘する。そして、こうした危機を招く要因として、本書では以下の4つを挙げている。

  1. 地球の生態系や気候に与える人類の圧力を大幅に軽減しない限り、危険な気候変動、多くの生物種の絶滅、重要な生態系の破壊を招く。
  2. 世界の人口は危険なほど速いペースで増加し続けている。
  3. 世界人口の6分の1が極度の貧困にあること。彼らはグローバルな経済成長の恩恵から取り残されている。貧困の罠は、貧しい人々を苦しめるだけでなく、世界中の人々にとって大きなリスクとなる。
  4. グローバルな問題を解決しようとするとき、シニカルな考え方や、敗北主義、時代遅れの制度のせいで、動きが取れなくなる。

 こうした要因は皆うなずくところであるが、問題はその解決策であろう。サックスは、自由放任主義の市場原理や、競争にあけくれる国民国家のなかで、こうした問題がおのずと解決されることはない、と断言する。エコロジカルな環境へ改善するには、「積極的な公共政策によって、省資源的な(つまり持続可能な)テクノロジーを導入し、成長の方向を転じなければならない」と主張する。また、「市場の原理だけでは貧困の罠を克服することはできない」とも言う。こうした言説からも明らかなように、サックスはグローバル・イシューの解決に公共政策の重要性を強調するのである。
 

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この記事の目次
グローバル・イシュー解決のために
ジェフリー・サックスが示した
協力原理の国際社会

国際交渉 サミット

国際協力 途上国支援

温暖化の影響 生態系