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コラム
鳥井弘之の『ニュースの深層』
「EV時代」のキーマテリアル
リチウム資源の将来を探る
とはいえ、すでに紹介したように、リチウム資源は著しく偏在している。資源のない国からすれば、将来に向けて資源を確保することが重要になる。2009年7月8日の日経新聞朝刊は、三井物産がカナダからリチウムを大量調達するという記事を掲載した。この記事によると、三井物産はカナダの資源開発会社であるカナダリチウムコープが、ケベック州に持つ鉱山で生産されるリチウムを独占的に販売する権利を獲得した。2013年から国内需要の約8割に相当する年産2000tを輸入し、日本や韓国の電池メーカーに供給するという。
このニュースからちょうど1カ月前となる2009年6月8日の日経新聞夕刊には、「環境車向けリチウム資源、ボリビアで開発、三菱商事や住商など」という見出しの記事があった。三菱商事や住友商事、JOGMECなどが、リチウム資源開発に向けた資金調達、技術、周辺インフラ整備などで広範な協力を行うことでボリビア政府と合意したという。そして、世界の半分の埋蔵量が見込まれるウユニ塩湖を開発する。この合意に向けた前駆的な記事が、2009年1月16日の日経産業新聞と2009年3月26日の日経新聞朝刊に掲載されている。日経産業新聞の報道では、住友商事が北九州市立大学の吉塚和治教授と共同で技術を開発すると伝えている。
リチウム確保に向けて海外資源開発が一つの方向だとすれば、リサイクルもまた有力な手段である。使用済みの家電製品などにはさまざまなレアメタルが含まれ、その回収事業が各地で始まっており、リチウムも回収の対象となっている。2008年12月31日の西部読売新聞朝刊は福岡県および同県大牟田市、2009年1月16日の東京読売新聞朝刊は秋田県大館市の取り組みを紹介している。さらに2009年2月4日の日経産業新聞は、埼玉県のリサイクル業者が岐阜県にリサイクル工場を設立したというニュースを報じている。
海水には1リットルあたり0.1〜0.2mgのリチウムが溶けている。地球上にある海水全体を考えると、溶解している量は2300億tに上る。塩湖かん水が有力なリチウム資源になっているのも、この海水に溶けたリチウムが濃縮されているからである。海水からウランを回収するのと同様に、リチウムを回収する試みもある。2004年4月22日の西部読売新聞朝刊は佐賀大学海洋エネルギー研究センターの実験を紹介している。先に登場した吉塚教授が開発した吸着剤を使い、伊万里湾の海水から90gの塩化リチウム回収に成功したという。
EVなどのエコカーの普及・拡大に向け、一見資源量が心配になるリチウムだが、陸上だけを考えても資源量は十分だし、リサイクルに向けた試みや海水からの回収にも可能性がある。2009年7月17日の日経新聞朝刊は、「高まるエコカー熱、リチウム価格は反応薄、寡占化で高価安定、開発動向が市況左右」という見出しの解説記事を掲載した。リチウムの国際価格は2004年から2007年に向けて高騰したが、その後は安定しているという。価格は需給関係で決まるとはいえ新たな資源開発が進むことを考えると、当面、これ以上リチウム価格が高騰する心配はないのかもしれない。
鳥井 弘之 氏 (とりい ひろゆき)
NPOテクノ未来塾理事長、科学技術振興機構JST事業主幹
1942年東京都生まれ。1969年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。1969年日本経済新聞社入社、1987年より論説委員を務め、2002年日本経済新聞社退社。2002年から2008年3月まで東京工業大学原子炉工学研究所教授。また、科学技術・学術審議会臨時委員などを務める。
主な著書に『原子力の未来―持続可能な発展への構想』(日本経済新聞社)、『科学技術文明再生論─社会との共進化関係を取り戻せ』(日本経済新聞社)、『どう見る、どう考える、放射性廃棄物』(エネルギーフォーラム)、共著に『「原発ごみ」はどこへ』(エネルギーフォーラム)などがある。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


リチウム資源の将来を探る
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