異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

鳥井弘之の『ニュースの深層』

京都議定書をどう守る?
EUが達成でき、日本が困難なワケ

海外から見た日本の取り組み

 それでは、目標達成が困難とされた日本に対し、海外はどう見ているのだろう。10月19日の日経新聞朝刊は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長の談話を掲載している。パチャウリ議長は「日本は炭素に価格をつける環境税や排出権取引を取り入れて低炭素社会を実現すべきだ」と強調したという。さらに、11月21日の朝日新聞夕刊は、ドイツのシャフハウゼン環境省環境エネルギー部長の「国内排出量取引制度が経済成長を阻害するという議論は、ドイツでも7年前にはあった。日本はいまごろやっている」という談話を紹介している。

 一方で、11月19日の日経新聞朝刊は、UNFCCCのデ・ブア事務局長に対するインタビューを掲載している。デ・ブア氏は2013年以降の議論に関連して、「日本経済は(エネルギー利用が)世界でも最も効率的であり、交渉では日本がすでに到達している(省エネの)レベルを認識すべきだ」と発言している。京都議定書の目標設定にまつわるアンフェアさを意識し、日本の努力を高く評価すると受け取れる発言である。

 今回は、なぜEUが京都議定書の目標達成が可能なのかを分析してみた。目標達成という意味でEUは明らかに有利な状況と考えることができる。しかし、国際的な約束は約束である。日本を含む批准国は、約束を果たす最大限の努力が必要だろう。現在のように、産業界の自主的な取り組みと海外での排出権取得が中心ということになれば、国民も納得しにくいだろうし、海外からも冷たい目で見られかねない。やはり、パチャウリ議長が言うように、削減に向けた経済的手法を取り入れることにより、国民全体が参加できるような仕組みを考える必要があるのではないだろうか。
 

鳥井弘之 氏鳥井 弘之 氏 (とりい ひろゆき)
東京工業大学教授

1942年東京都生まれ。1969年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。1969年日本経済新聞社入社、1987年より論説委員を務め、2002年日本経済新聞社退社。2002年より東京工業大学原子炉工学研究所教授、東京大学先端科学技術研究センター客員教授を兼務。また、科学技術・学術審議会臨時委員などを務める。

主な著書に『原子力の未来―持続可能な発展への構想』(日本経済新聞社)、『科学技術文明再生論─社会との共進化関係を取り戻せ』(日本経済新聞社)、『どう見る、どう考える、放射性廃棄物』(エネルギーフォーラム)、共著に『「原発ごみ」はどこへ』(エネルギーフォーラム)などがある。

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荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
京都議定書をどう守る?
EUが達成でき、日本が困難なワケ

エネルギー技術 原子力発電/再生可能エネルギー

CO2削減技術 省エネルギー

エネルギー政策 日本/欧州

国際交渉 COP

国際協力 排出量取り引き