異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

十市勉の『資源Wars』

注目集まる非在来型天然ガス[前編]

他国に先駆けて商業化進む米国
可採埋蔵量は在来型の倍以上に

技術開発の主力は中堅エネルギー企業

 非在来型の天然ガスの占める割合が急激に伸びた背景には、3つの要素がある。

 まず、掘削に必要な技術が進歩したことだ。なかでも、水平掘りと水圧破砕の技術革新が大きい。従来、油田もガス田も、埋蔵されているところへ向かって垂直に掘削を行っていた。しかし、水平掘削技術が確立されたことで、都市部の地下からもガスを採取できるようになった。水圧をかけて、動きにくいガスを地上へ噴出させる際にも、遠隔操作が可能になった。

 主に開発に携わったのは、メジャーではなく、中堅のエネルギー企業である。これを政府が支援するという追い風もあった。

 ここで開発された技術は特に、浅く広く埋蔵されているシェールガスの生産に貢献するため、今後はシェールガスの生産割合が上がることが予想される。

 技術の革新、普及には、在来型の天然ガスの価格高騰が影響している。最近は深刻な経済不況でガス価格が低迷しているが、高い時では1MMBtu当たり10ドル以上にまで達した。このため、代替となる非在来型天然ガスへの期待が高まったのだ。

 さらに、非在来型天然ガスに対しては、税制優遇措置も取られた。1990〜2000年にかけての実績で、1MMBtuに対して約1ドルの免税効果があったと試算されている。これは原油換算すると1バレル当たり5.8ドルという、相当に大きなインセンティブである。

 生産コストもそれほど高くはない。1MMBtu当たり6〜7ドル(安い場合で4〜5ドル)で、不況による影響で低迷する在来型天然ガス価格の3〜4ドル/MMBtuを上回るものの、原油に換算すると1バレル当たり35〜40ドルに相当する。現在の原油価格は1バレル当たり70ドル前後で、天然ガスは現在、非常に安い状態にある。これには、米国内における掘削技術の進歩が影響している。経済危機以降は、あまりにも価格が安くなったため、新規開発にブレーキがかかっているほどだ。

 ではその米国にどの程度の可採埋蔵量があるのか。英メジャーBPが2008年末にまとめた統計によると、在来型天然ガスの可採埋蔵量は、238兆立方フィートと見込まれている。一方で、非在来型の可採埋蔵量は、タイトガスが304兆立方フィート、シェールガスが125兆立方フィート、CBMが71兆立方フィートで、合計500兆立方フィートと、在来型の倍以上である。

 この数字がますます、米国内での非在来型天然ガスへの期待を高めている。

 米国の動向は世界の液化天然ガス(LNG)市場へも大きく影響を及ぼす。というのも、米国のLNG輸入量が激減しているからだ。2007年の1620万tから、2008年には、740万tにまで減っている。これにより、従来は米国へ供給されていたLNGが、安い価格でアジアに流れている。
 

十市 勉 氏十市勉 氏 (といち つとむ)
財団法人日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員

1973年東京大学理学系大学院地球物理コース博士過程終了、理学博士。同年日本エネルギー経済研究所に入所。米国のマサチューセッツ工科大学エネルギー研究所客員研究員を経て、日本エネルギー経済研究所第1研究室室長に就任。理事・総合研究部長、常務理事・首席研究員などを経て、2006年に専務理事(最高知識責任者)・首席研究員に就任。

主な著書に『21世紀のエネルギー地政学』(産経新聞出版)、『エネルギーと国の役割─地球温暖化時代の税制を考える』(共著、コロナ社)、『石油─日本の選択』(日本能率協会マネージメントセンター)、『第3次石油ショックは起きるか』(日本経済新聞社)などがある。

内閣府経済財政諮問会議・日本21世紀ビジョン・グローバルWG委員、総合資源エネルギー調査会臨時委員を務めるなど、エネルギー分野での論客として知られる。

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この記事の目次
注目集まる非在来型天然ガス[前編]
他国に先駆けて商業化進む米国
可採埋蔵量は在来型の倍以上に

エネルギー政策 米国/BRICs

エネルギー技術 化石燃料