異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

十市勉の『資源Wars』

オイルサンドの可能性[後編]

環境対策が最大の課題
コスト上昇にも注意が必要

2008年9月8日(月)公開
上昇続ける生産コスト

 埋蔵量の豊富さや開発リスクの低さなどメリットが多いオイルサンド事業だが、課題もある。まず、生産コストの上昇だ。主要な採掘方法の一つである地下採取法「SAGD(Steam Assisted Gravity Drainage)法」では、大量の水蒸気を地下に圧入し、ビチューメンの流動性を高めて採取する。この水蒸気をつくる際の燃料として大量の天然ガスが必要となるため、生産コストに占める天然ガスの費用がほぼ半分に達する。また、ビチューメンから合成原油を生産する際にも大量の天然ガスを使用する。石油価格が上昇すると、連動して天然ガスの価格も上がり、オイルサンドの生産コストが上昇してしまうわけだ。

 資機材価格の高騰も生産コストに影響する。オイルサンドの開発では大量の土砂を処理するうえ、天然ガスを分解して取り出した水素をビチューメンに結合させる工程があるため、非常に大規模なプラントが必要になる。資機材価格が上がれば、当然、プラントの建設費用も上昇し、生産コストに影響する。

オイルサンドの採掘現場
オイルサンドの採掘現場。露天掘りでは巨大なエクスカベーターと呼ばれる重機で土砂を掘り出す(写真提供・サンコア・エナジー)

 さらに、人件費についてもコスト高の要因となっている。アルバータ州はカナダ西部に位置し、北極圏に近い原野である。厳しい労働環境のため労働者の確保が難しいのだ。これらの事情により、オイルサンドの生産コストは年々上昇している。

 加えて最近では、資金調達の面でも問題が出てきた。露天掘りの場合、一つのプロジェクトの規模は、平均でも1日あたりの生産量が10万バレル(1バレル=159リットル)程度。金額にすると、70億〜80億ドル(約7500億〜8500億円)規模の巨大プロジェクトである。米国でサブプライムローン問題が発生して以降、不安定な金融情勢が続き、金融機関は融資先の選別を厳しくしている。大規模プロジェクトは一般的にリスクが大きいため、資金調達が従来に比べて難しくなっているのだ。この影響でパイプラインなどのインフラ整備も遅れており、仮に生産能力が向上したとしても、輸送能力の面で制約が出てくるおそれもある。
 

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この記事の目次
オイルサンドの可能性[後編]
環境対策が最大の課題
コスト上昇にも注意が必要

エネルギー技術 化石燃料

エネルギー政策 日本/米国

CO2削減技術 CCS技術