


COP15、温暖化交渉を読む
コラム
十市勉の『資源Wars』
再生可能エネルギーへの期待[前編]
IEAシナリオが導き出した
再生可能エネルギーの重要性
世界の二酸化炭素(CO2)排出量削減に向け、再生可能エネルギーへの期待が高まっている。国際エネルギー機関(IEA)が新たに発表した報告書でも、再生可能エネルギーへの大きな期待がうかがえる。
6月7日〜8日、青森で主要8カ国(G8)エネルギー大臣会合が開催されたが、これに先立ち、IEAは「エネルギー技術展望(ETP)2008:2050年に向けたシナリオと戦略」と題した報告書を6日に発表。2050年までに、世界のCO2排出量を半減するためのシナリオと、これに寄与する技術の開発、普及の道筋を示した。2005年に英国で開催されたグレンイーグルズサミット(主要国首脳会議)で、G8首脳は、「クリーンで賢明、競争力のあるエネルギーの将来を築き上げるための指針」を提供するようIEAに“宿題”を課していた。ETP2008は、これに応えるかたちでIEAがまとめたものだ。
ETP2008は、現状並みのCO2対策を継続した場合の「ベースライン・シナリオ」、2050年の世界のCO2排出量を2005年レベルに抑制するための「アクト・シナリオ」、そして2050年のCO2排出量を2005年の半分に削減するための「ブルー・シナリオ」を提示している。「ブルー・シナリオ」は、IEAが2007年11月に発表したエネルギー市場の動向に関する報告書、『WORLD ENERGY OUTLOOK 2007』で示した、CO2濃度を450ppmに抑えるためのシナリオに対応している。
2005年の世界のCO2排出量は280億tだったが、現状の対策を維持する「ベースライン・シナリオ」では、2050年の排出量は620億tに増えると予測されている。つまり、2005年比で半減するには、620億tから140億tへの大幅な削減が求められるわけだ。ETP2008の「ブルー・シナリオ」を選んだ際の試算によれば、省エネの寄与度は削減量全体の36%、再生可能エネルギーが同21%、炭素回収・貯留(CCS)が19%、燃料転換が18%、原子力が6%と、再生可能エネルギーは省エネに次いで、2番目に大きな役割が期待されている。
なかでも、特に期待されているのが風力発電と太陽光発電だ。「ブルー・シナリオ」では、2050年までに建設が必要な風力・太陽光発電設備の規模を次のように想定している。まず、陸上風力は、1年間に4800万kW増やす必要がある。これは、4000kW級の設備を1万2000基、稼働させることになり、直径70〜80mという巨大な風車を現在の2倍近くつくる計算になる。洋上風力は毎年5700基、発電容量で2300万kW増やす。
一方、太陽光発電の年間導入量は3000万kW。新技術の「集光型太陽熱発電」設備も25万kW級を毎年80基設置し、2000万kW増やす。集光型太陽熱発電とは、太陽熱で水から蒸気をつくり、タービンを回して発電する方法。米国やスペインでは、すでに一部で導入されており、日本でも1970年代に実験が行われたことがある。最新の集光型太陽熱発電では、高温熱媒体を介して水蒸気を発生させる方式をとっており、普及に向けた技術開発は今後、本格化するだろう。このほか、10万kW級の地熱発電を1年間に130基、計1300万kW設けるなど、相当大規模な再生可能エネルギー発電設備を世界中につくることが想定されている。
■2050年の半減には再生可能エネルギーが不可欠

IEAは2050年にCO2排出量を2005年比で半減するためのシナリオを発表した。再生可能エネルギーは、省エネにつぐ削減効果を期待されている(出所:IEA「エネルギー技術展望2008:2050年に向けたシナリオと戦略」を基に作成)


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