異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

十市勉の『資源Wars』

バイオ燃料の時代は到来するか[後編]

次世代バイオ燃料は救世主か?

2008年3月10日(月)公開
食糧供給を圧迫するバイオブーム

 温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から、輸送用燃料の代替として世界的に注目を集めるバイオ燃料だが、最近、その負の側面も明らかになってきた。原料となる作物栽培のための大規模な土地利用が、食糧供給を圧迫したり、森林破壊を引き起こしたりしているのだ。

 事実、インドネシアやマレーシアではパーム油によるバイオ燃料の生産がさかんだが、このための大規模な森林開発が問題になっている。特にインドネシアでは、スマトラ島などで森林を伐採して切り倒した木を燃やし、畑を作ってパーム油の原料となるアブラヤシを植林している。これが森林火災の原因ともなり、急速な勢いで森林が消滅しているのだ。

 バイオディーゼルの普及を急激な勢いで進めている欧州では、菜種油の価格が上がり、マヨネーズをはじめ、さまざまな食料品の価格に影響を与えている。パーム油も例外ではない。パーム油の約60%は食用油として利用されており、多くの発展途上国では、主要な食用の油源となっている。パーム油の価格は2007年6月に、1t当たり850ドルまで急騰。食料品価格だけでなく、石けんなど生活物資の値上がりの要因にもなり、問題となっている。

 エネルギー作物生産のための大規模なプランテーション開発や転作により、食糧栽培面積が減るという問題もある。例えば、従来は食用作物をつくっていた農家が、サトウキビやトウモロコシなどに転作すると、今までつくっていた作物の需給がひっ迫して価格が上がる。バイオ燃料の生産には大量の原料が必要となるため、食用作物の耕地をエネルギー用作物に転換すると、食糧の需給に多大な影響を与えることになる。

 単一作物の栽培は生態系にも悪影響を及ぼす。最近では、欧州のNGO(非政府組織)などが「バイオディーゼルへの使用には反対」と、かなり明確に主張しており、パーム油の燃料利用に圧力をかけ始めている。ドイツのメルケル首相も、生産国を名指しで批判した。EUでは、バイオディーゼルの輸入時に、産地や栽培方法を確認するという方針を打ち出している。将来的には、森林を破壊して栽培された原料を使ったバイオ燃料は受け入れないことになるだろう。
 

■国策としてバイオ燃料事業に進出するマレーシア、インドネシア

世界のパームフルーツ生産量(1975年〜2005年)

マレーシアやインドネシアはパーム油の生産量を急激に増やしている。現在はマレーシアの生産量が世界最大だが、インドネシアは、これを追い抜く勢いだ(出所:日本エネルギー経済研究所)
 

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この記事の目次
バイオ燃料の時代は到来するか[後編]
次世代バイオ燃料は救世主か?

エネルギー技術 バイオ燃料/再生可能エネルギー

エネルギー政策 日本