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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
十市勉の『資源Wars』
次世代バイオ燃料は救世主か?
すでに国内では、燃料用エタノール生産の実証実験「地産地消プロジェクト」が始まっている。北海道・十勝地方ではトウモロコシや規格外の小麦やてん菜、山形県・新庄市ではこうりゃん、沖縄県・宮古島と伊江島ではサトウキビ、大阪府・堺市では建築廃材、岡山県・真庭市では製材廃材からエタノールをつくるプロジェクトが動き始めており、年間30キロリットルが生産されている。
課題は安定供給の確保と経済性の向上だ。国内生産はコストがかかるため、コスト低減が不可欠だ。バイオエタノールの価格は現在、1リットル当たり300円。価格競争力を持たせるには、100円程度に下げる必要がある。また、大量に使用するとなると国内産だけでの供給は難しく、海外からの輸入が中心になる。当面はブラジル、将来的にはインドネシアなどからの輸入が増えることも考えられる。
国に先駆けて、先進的な自治体では、すでに自主的な取り組みが始まっている。バスやゴミ収集車などの燃料に利用するケースが多く、原料は廃食用油や菜種油などが中心だ。100%バイオディーゼルの「B100」が、全国100カ所で1万キロリットルほど生産・使用されている。とはいえ、軽油使用量の3000万キロリットルやガソリン使用量の6000万キロリットルに比べると微々たる量である。日本国内でのバイオ燃料の供給能力には、土地の制約と高コストという問題がついて回り、限界が見える。しかも、食糧問題がこれから厳しくなってくると、耕作地をエネルギー作物の確保のために使っていいのかという問題も出てくる。やはり、第2世代のバイオ燃料の技術開発を進める必要があるわけだ。
優れたバイオ燃料を開発できたとして、その普及には、さらに三つの条件がある。一つは、バイオディーゼル燃料(BDF)の品質規格の確定だ。バイオ燃料は製造方法により品質が千差万別だが、さまざまな用途に用いようとすると一定の品質を保証する必要がある。二つ目は安定供給の確保だ。今後、インドネシアやマレーシアは、パームヤシを原料とするバイオ燃料の開発輸出を積極的に行うようになると考えられるが、環境破壊につながらない方法が必要だ。三つ目が税金の問題。現在、軽油引取税は1リットル当たり32.1円だが、B100は無税。脱税対策の検討が必要となる。
バイオ燃料の普及には、こうした課題も考慮した、国としての長期的なロードマップ(行程表)の策定が欠かせない。温暖化対策、エネルギー安全保障、農業振興のバランスの取れ、アジア諸国との連携を視野に入れた日本の戦略が求められている。
十市勉 氏 (といち つとむ)
財団法人日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員
1973年東京大学理学系大学院地球物理コース博士過程終了、理学博士。同年日本エネルギー経済研究所に入所。米国のマサチューセッツ工科大学エネルギー研究所客員研究員を経て、日本エネルギー経済研究所第1研究室室長に就任。理事・総合研究部長、常務理事・首席研究員などを経て、2006年に専務理事(最高知識責任者)・首席研究員に就任。
主な著書に『21世紀のエネルギー地政学』(産経新聞出版)、『エネルギーと国の役割─地球温暖化時代の税制を考える』(共著、コロナ社)、『石油─日本の選択』(日本能率協会マネージメントセンター)、『第3次石油ショックは起きるか』(日本経済新聞社)などがある。
内閣府経済財政諮問会議・日本21世紀ビジョン・グローバルWG委員、総合資源エネルギー調査会臨時委員を務めるなど、エネルギー分野での論客として知られる。
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