異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

十市勉の『資源Wars』

バイオ燃料の時代は到来するか[前編]

自動車燃料の代替として
期待高まるバイオ燃料

2008年2月25日(月)公開
バイオ燃料はカーボンフリーか?

 輸送用燃料の代替として、バイオ燃料への期待が高まっている。ガソリンや軽油、ジェット燃料、A重油などの輸送用燃料は、石油需要の半分以上を占める。特に日本は、輸送用燃料の石油依存度が高く、97〜98%にものぼる。世界的に見て、 発電用燃料としての石油依存は減っており代替も可能だ。しかし、輸送用燃料では、石油に代わるものが、なかなか見つからない。世界的な石油供給への不安を背景に、輸送用燃料の石油依存を減らし、燃料の多様化を図る手段として、バイオ燃料が注目を集めているのだ。

 バイオ燃料はエネルギー安全保障につながるだけでなく、「カーボンニュートラル」な燃料として地球温暖化対策や持続可能な発展にも貢献できる期待から、大きな関心が寄せられている。中国やインドのモータリゼーションが本格化し、石油消費が急増するなかで、燃費のよい自動車の開発・普及や燃料の多様化は、世界的な課題となっている。バイオ燃料に対する期待は、急速に膨らんでいるのだ。

 バイオ燃料が注目される理由は、ほかにもある。農業支援、あるいは地域産業の振興につながり、新しいエコ産業と、雇用創出効果が見込めることから、人気が高まっているのだ。国民の支持を受けやすく、票にもつながりやすいことから、政治的にも進めやすく、普及を後押ししている。日本国内でも、農水族議員がバイオ燃料を熱心に推進している。

 もっとも、バイオ燃料が「カーボンフリー」か、という点については議論がある。例えば、トウモロコシを原料として生産する場合、肥料や輸送、蒸留工程などで、かなりのエネルギーが必要になる。京都議定書では、バイオ燃料についてはCO2排出量をカウントしないことになっているが、現実には、その製造プロセスでかなりの量が排出されているのだ。

 CO2をどの程度セーブできるかは、サトウキビやトウモロコシの栽培方法や、バイオ燃料の製造方法によっても異なる。例えば、生産工程で排出されるCO2は、デンプンから糖への転換に使うエネルギーによるものがほとんどだ。このため、もともと糖分が多いサトウキビの場合は、効率よく生産できる。さらにブラジルでは、サトウキビの茎や絞りかすなども燃料に再利用しており、燃料製造のために投入するエネルギー量よりも、はるかに多くのエネルギーを得られる。

 一方、トウモロコシの場合は、まずデンプンを糖に変える工程が必要となるため、サトウキビを原料にする場合に比べて、生産時のエネルギー使用量が多くなる。投入したエネルギーの何倍のエネルギーを得られるかで比較すると、サトウキビの8に対して、トウモロコシは1.3〜1.8、小麦は1.2などと算出されている。いずれも投入量以上のエネルギーを生み出しているが、CO2排出量をみると、トウモロコシの場合はカーボンフリーとは言えないだろう。
 

■トウモロコシならガソリンを使うのと変わらない

ガソリンとバイオエタノールのCO2排出量

日本でバイオエタノールを輸入した場合、原料生産からサービスステーションでの供給までをLCA評価すると、ブラジルからサトウキビ原料のエタノールを輸入した場合が最もCO2排出量が少なくなる(出所:日本エネルギー経済研究所)
 

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この記事の目次
バイオ燃料の時代は到来するか[前編]
自動車燃料の代替として期待高まるバイオ燃料

エネルギー技術 バイオ燃料/再生可能エネルギー

エネルギー政策 米国/欧州/BRICs