異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

澤昭裕の『不都合な環境政策』

COP17へ、日本がなすべきこと
新枠組みの具体的構想を示し実現せよ

2011年1月17日(月)公開
国際枠組みとしての京都議定書継続論を拒否

 国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)の交渉の焦点は、温室効果ガス排出削減を巡る先進国と途上国との考え方の溝が埋まるか、また2012年で第一約束期間が終了する京都議定書に替わる新たな枠組みに道筋がつくのか――ということだった。

 「京都議定書では途上国に法的な削減義務が課されておらず、米国も脱退していて、世界全体の排出量の27%をカバーするに過ぎない。途上国からの排出増加が急増する将来を考えれば、地球温暖化問題の真の解決策とはならない」──。会議冒頭から、日本政府はこうした論理で、第二約束期間での削減義務の設定(いわゆる「京都議定書延長論」)を強く拒否する発言を行った。日本政府の断定的なトーンに対して、発言直後には京都議定書延長論を唱える途上国や環境NGO(非政府組織)は強く反発。EU(欧州連合)も、日本は最終的には折れると踏んでいたこともあってか、驚きのあまり、会議を壊すのなら壊してみろ、日本悪者論が新聞の見出しを飾るぞと、日本に強い外交的圧力をかけてきた。

 しかし、その後の日本政府の二国間での説明や松本龍環境大臣のスピーチなどを経て、会議後半には、京都議定書を延長してしまえば、米中に削減に取り組ませる政治的圧力が失われてしまうだけだという日本の見方に賛同する国が増えた。

 特に、途上国の中でも島しょ国などは明示的に日本に賛意を表するに至ったし、外国プレスや環境NGOの中でも、京都議定書の第二約束期間設定に日本が同意したからといって、例えば中国がその範に倣って削減義務を負うことを承知するかといえば、大いに疑問だという声もよく聞かれるようになった。孤立だけを強調した自虐的ともいえる記事や、COPの会場で数多く開催されるイベントの1つに過ぎない「化石賞」をことさら大きく扱ったりする記事が報道された日本国内と比べると、現地でのムードは全く異なっていたと言ってよい。

 こうした日本の論理や原則的立場は、議長国のメキシコにもよく理解され、最終的には日本の立場が明確に反映された「京都議定書締約国会合(CMP)による決定」(例えば、「第二約束期間設定は関係当事国が書面同意を与えることによって初めて有効になる」との条約上の権利について、改めて脚注で確認されたことなど)に結びついたのである。

 パワーもなく、熟達した外交スキルで立ち回ることも不得意な日本が、松本大臣を先頭に愚直に「理」を説くことによって、京都議定書延長で妥協しようとする政治的リアリズムと拮抗する結果を得たということだ。日本外交の一つの進むべき道を示した例として、高く評価したい。
 

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