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国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が閉幕した。地球温暖化問題における2013年以降の世界の方向を決める重要な会議であり、大排出国・米中の動向や途上国に対する支援システム構築など、注目すべき点は多かった。今回の交渉結果をどのように読み、今後日本はどの方向に進むべきかを提言する。

コラム

澤昭裕の『不都合な環境政策』

「25%削減」鳩山構想の危うさ-2
国内経済に与える影響を検証する

2009年9月24日(木)公開
背景にある3つの命題は正しいか

 前回は、「25%削減」鳩山構想(中期目標として温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減を目指すとの構想)の国際交渉に与える影響などを検討した。今回は国内経済に対する影響などを見てみたい。25%削減構想のバックにある3つの命題が正しいのかどうかについて検討してみよう。

 民主党政権が、25%削減構想が実現可能であり、かつ経済的にプラス面が大きいと主張する背景には、同党の専門家議員らの発言をもとにまとめると、次の3つの考え方が存在するようだ。第1に、削減目標は厳しければ厳しいほど、技術革新へのチャレンジ意欲がわくため、経済の成長要因となり、産業構造も変化するので、現状を前提としたこれまでの政府の中期目標検討委員会の経済分析は不正確である、という主張は正しいのか。第2に、国民負担論は、温暖化対策を回避するための「脅し」であって、省エネ投資によってエネルギーコストは削減されるから、国民負担は無くせることができるという考え方は正しいのか。第3に、25%削減目標を達成するために、海外からのクレジットを購入し、国内排出権取引制度を導入する一方、地球温暖化対策税を導入することが「良い」経済政策なのか。それぞれの命題は相互に関連するため、以下に述べる内容や関連データが、上記1〜3の複数に関連する場合があることをご容赦願いたい。

 まず、削減目標は厳しければ厳しいほど、経済にプラスの影響があるのだろうか。日本はこれまで幾多の経済環境の悪化(オイルショック、円高……)を乗り越えて、ここまで経済成長を遂げてきたのだから、今回も乗り切れると「信頼して」(鳩山由紀夫首相)いる人は多いだろう。しかし、次のようないくつかの仮定的な質問を考えてみると、そうした根拠のない「信頼」は「不安」に替わる。

 仮説問1.削減目標が厳しければ厳しいほど、経済にプラスに作用するのならば、2020年に例えば80%削減(=インドの対先進国削減要求数値)をコミットしてもいいのではないか。

 →仮に、「さすがにそれは物理的に不可能だ」との反論もあろうが、25%削減構想の主張者自身も最近では海外クレジット購入を容認しているのだから、海外クレジットを購入すれば80%削減は達成可能である。

 仮設問2.中国やインドなどの主要途上国は、既に相当の経済発展を遂げてきているにもかかわらず、今後も経済成長を実現するためには、削減義務を負うことは受け入れられないと主張しているが、それはなぜか。日本の新政権が、厳しい削減目標を掲げれば掲げるほど、経済成長が可能になると考えているのであれば、中国やインドに対して、削減義務を受け入れても、十分以上に経済成長は可能であると説得できるはずである。

 →「中国はまだ経済発展途上であり、日本と成長段階が異なる」との反論もあろうが、日本がオイルショックを切り抜けたのは、既に40年近く前の話であり、現在の中国の方が当時の日本よりも圧倒的に経済発展を既に遂げている。
 

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