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- 澤昭裕の『不都合な環境政策』
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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
澤昭裕の『不都合な環境政策』
「25%削減」鳩山構想の危うさ-2
国内経済に与える影響を検証する
前ページの表で注目してもらいたいのは、日本の25%削減構想が与える影響度の異常さである。限界削減費用は、省エネによるコスト削減効果を見込んだうえでの数値だから、そのままネットコストを表しているが、他国とけたが異なる。これは、日本が産業界のコスト削減努力や家庭での「もったいない」文化が効を奏し、既に簡単に(低コストで)実現できる省エネ機会は既に消費されていることを示している。残っているのは相当高く付く方策だけであり、そのような選択肢が狭い中で25%もの削減を実現しようとすれば、相当炭素価格は上昇する。
排出権割り当て制度を同時に導入する必要があるとすれば、その価格は他国に比べて10倍以上になることから、もし同制度が欧米や中国とリンクされれば、外国からの排出権売り込みが殺到することになろう。そうなれば、企業や家庭は削減のための技術開発や生活上の工夫をするよりも、こうした排出権の輸入に傾くことは必至で、日本の所得は海外に漏出していくことになってしまう(人をより削減すれば排出権割り当て制度は「儲かる」制度だと主張する向きもあるが、削減目標の遵守に必要なコストを「小さくする」ことができる制度だというだけで、「儲かる」のではない。それに関連して、排出権割り当て・取引制度は、削減目標を最小コストで達成できる方法とよく言われるが、国内だけでそうした制度を運用しても最小コストにはならず、海外クレジットの購入が可能なように制度設計しなければ、そうしたメリットは実現しない)。
環境税や排出権割り当て・取引制度は、「良い」政策か? それは削減目標が妥当なものであるかどうかによる。というのは、環境税や排出権割り当て・取引制度は目的ではなく、方法だからである。方法論として、環境税か排出権割り当て・取引制度か、それとも自主行動計画のような手法が優れているのかについては、より深い検討が必要である。ただ、ひとつだけ警告しておくならば、現在の排出権割り当て・取引制度を巡る議論は、「いい道具が手に入ったので、一度料理に使ってみたいのだが」というノリのものが多いということである。「病人に必要な食事は日本料理なのか、フランス料理なのか、またどのくらいの量を食べさせればいいのか」が本質の議論であるべきところ、今は道具を使ってみたくて仕方がない人が、「どんな料理でもいいからこの道具を使ってみよう、そのためにはできるだけ量が多い方がよい」と駄々をこねているように聞こえるのだが。例えば、先頃の報道に2011年から企業に割り当てを検討という記事があったが、京都議定書の遵守のために必要なのか、次期枠組みでの約束を果たすために必要なのか不透明である。目的なき手段論は、道を誤らせる。十分注意が必要だ。
いずれにせよ、国内対策のオプションについては項を改めることにする。次回は、以前途中で終わっていた日本が次期枠組み合意案に署名するための必要条件の続きに触れたうえで、新政権の考え方とは異なる対案として、日本の経済力と技術を活かした国際的リーダーシップを取る構想を提示したい。
澤 昭裕 氏 (さわ あきひろ)
日本経済団体連合会 21世紀政策研究所 研究主幹
大阪府生まれ。1981年一橋大学経済学部卒業後、同年通商産業省(現在の経済産業省)入省。1987年プリンストン大学にてMPA(行政学修士)取得。通産省工業技術院人事課長、経産省産業技術環境局環境政策課長、資源エネルギー庁資源燃料部政策課長などを経て2004年8月から2008年7月まで東京大学先端科学技術研究センター教授。2007年5月より現職。編著書に「地球温暖化問題の再検証−ポスト京都議定書の交渉にどう臨むか」「大学改革 課題と争点」「競争に勝つ大学−科学技術システムの再構築に向けて」「民意民力−公を担う主体としてのNPO/NGO」「無名戦士たちの行政改革」。また、21世紀政策研究所で地球温暖化政策についての提言(セクター別アプローチ、排出量取引制度など)多数。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


国内経済に与える影響を検証する
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