異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

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民主党マニフェスト
3つの決定的欠落

国際的リーダーシップの源泉は構想力

 第三の欠陥は、1990年比25%削減という中期目標によって、「国際的なリーダーシップを取る」(岡田克也幹事長)ことができると考えている点である。確かに、省エネで進んだ日本が、限界削減費用ベースで8万円ものコスト(中期目標検討委員会発表の数字)をかけて、1990年25%削減をするというのであれば、諸外国は「日本はすごい国だ、わが国ではそんな真似はできない。経済の自殺行為だからだ」と思うだろう。その意味で、リーダーシップは取れるかもしれない。

 しかし、民主党は、EUが1990年比20%削減(他国も合意すれば30%削減)と言っているから、日本も「同じ数字」以上を言わなければならない、と考えているようにみえる。数字の「見た目」で引け目のないようにする、というだけでは、あまりにも単純な政治パフォーマンス重視の発想で、コメントにも値しない。

 仮に数字だけの問題だとしても、中国は先進国に対して40%削減、インドは80%削減を求めているなかで、わが国が25%削減を打ち出しても、「まったく不十分」という国際的批判を招くだろう。麻生首相の中期目標が、野心的ではないと国際的な批判を浴びたといわれるが、日本にとっての如何にコストのかかる政策を打ち出しているかという説明不足だったことが原因の一つである。民主党もそれを理解しないで、数字を「25」に引き上げたら国際的評価を得ると考えているとしたら、温暖化国際交渉での戦略が全くないと思われても仕方がない。

 また、民主党内には、日本国内での厳しい中期目標がイノベーションを促進し、むしろ経済成長を高めるといった主張があるが、もしもそれが事実であれば、途上国が貧困脱出の必要性を理由として、GHG削減義務化に断固として反対しているのはなぜだろうか。中国をはじめとする途上国に対して、果たしてそのようなロジックで次期枠組みへの参加を促していくことができるのだろうか。

 いずれにせよ、温暖化国際交渉は、数字だけのゲームではなく、次期枠組み全体についての構想力が国際的リーダーシップの源泉なのである。

 マニフェストには字数の制限もあるし、表現の政治性もあるだろう。しかし、温暖化対策についてはコストベネフィットを分析するためのデータやモデルが、相当整備されてきている。民主党が政権を取ったとするならば、マニフェストに書いたからという理由だけで、麻生首相が内外に示した中期目標を変更することは乱暴である。再度、国民的な議論が十分行われることが期待される。
 

澤 昭裕 氏澤 昭裕 氏 (さわ あきひろ)
日本経済団体連合会 21世紀政策研究所 研究主幹

大阪府生まれ。1981年一橋大学経済学部卒業後、同年通商産業省(現在の経済産業省)入省。1987年プリンストン大学にてMPA(行政学修士)取得。通産省工業技術院人事課長、経産省産業技術環境局環境政策課長、資源エネルギー庁資源燃料部政策課長などを経て2004年8月から2008年7月まで東京大学先端科学技術研究センター教授。2007年5月より現職。編著書に「地球温暖化問題の再検証−ポスト京都議定書の交渉にどう臨むか」「大学改革 課題と争点」「競争に勝つ大学−科学技術システムの再構築に向けて」「民意民力−公を担う主体としてのNPO/NGO」「無名戦士たちの行政改革」。また、21世紀政策研究所で地球温暖化政策についての提言(セクター別アプローチ、排出量取引制度など)多数。

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