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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
澤昭裕の『不都合な環境政策』
民主党マニフェスト
3つの決定的欠落
第三の欠陥は、1990年比25%削減という中期目標によって、「国際的なリーダーシップを取る」(岡田克也幹事長)ことができると考えている点である。確かに、省エネで進んだ日本が、限界削減費用ベースで8万円ものコスト(中期目標検討委員会発表の数字)をかけて、1990年25%削減をするというのであれば、諸外国は「日本はすごい国だ、わが国ではそんな真似はできない。経済の自殺行為だからだ」と思うだろう。その意味で、リーダーシップは取れるかもしれない。
しかし、民主党は、EUが1990年比20%削減(他国も合意すれば30%削減)と言っているから、日本も「同じ数字」以上を言わなければならない、と考えているようにみえる。数字の「見た目」で引け目のないようにする、というだけでは、あまりにも単純な政治パフォーマンス重視の発想で、コメントにも値しない。
仮に数字だけの問題だとしても、中国は先進国に対して40%削減、インドは80%削減を求めているなかで、わが国が25%削減を打ち出しても、「まったく不十分」という国際的批判を招くだろう。麻生首相の中期目標が、野心的ではないと国際的な批判を浴びたといわれるが、日本にとっての如何にコストのかかる政策を打ち出しているかという説明不足だったことが原因の一つである。民主党もそれを理解しないで、数字を「25」に引き上げたら国際的評価を得ると考えているとしたら、温暖化国際交渉での戦略が全くないと思われても仕方がない。
また、民主党内には、日本国内での厳しい中期目標がイノベーションを促進し、むしろ経済成長を高めるといった主張があるが、もしもそれが事実であれば、途上国が貧困脱出の必要性を理由として、GHG削減義務化に断固として反対しているのはなぜだろうか。中国をはじめとする途上国に対して、果たしてそのようなロジックで次期枠組みへの参加を促していくことができるのだろうか。
いずれにせよ、温暖化国際交渉は、数字だけのゲームではなく、次期枠組み全体についての構想力が国際的リーダーシップの源泉なのである。
マニフェストには字数の制限もあるし、表現の政治性もあるだろう。しかし、温暖化対策についてはコストベネフィットを分析するためのデータやモデルが、相当整備されてきている。民主党が政権を取ったとするならば、マニフェストに書いたからという理由だけで、麻生首相が内外に示した中期目標を変更することは乱暴である。再度、国民的な議論が十分行われることが期待される。
澤 昭裕 氏 (さわ あきひろ)
日本経済団体連合会 21世紀政策研究所 研究主幹
大阪府生まれ。1981年一橋大学経済学部卒業後、同年通商産業省(現在の経済産業省)入省。1987年プリンストン大学にてMPA(行政学修士)取得。通産省工業技術院人事課長、経産省産業技術環境局環境政策課長、資源エネルギー庁資源燃料部政策課長などを経て2004年8月から2008年7月まで東京大学先端科学技術研究センター教授。2007年5月より現職。編著書に「地球温暖化問題の再検証−ポスト京都議定書の交渉にどう臨むか」「大学改革 課題と争点」「競争に勝つ大学−科学技術システムの再構築に向けて」「民意民力−公を担う主体としてのNPO/NGO」「無名戦士たちの行政改革」。また、21世紀政策研究所で地球温暖化政策についての提言(セクター別アプローチ、排出量取引制度など)多数。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


3つの決定的欠落
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