異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

澤昭裕の『不都合な環境政策』

民主党マニフェスト
3つの決定的欠落

マニフェストの決定的欠陥

 民主党のマニフェストには、3つの決定的欠陥がある。

 第一の欠陥は、民主党案には国民の経済的負担がいくらになるのかが全く示されていないことである。環境問題は、経済成長や生活水準向上とのトレードオフを無視して議論されることが多い。これは世界的な傾向であり、EUの一部では環境保護が宗教的倫理の色彩を帯びることも往々にしてある。しかし、日本は未曾有の不況下にあり、自民党・小泉純一郎政権時代のリベラリズム的市場重視政策で所得分配の格差が拡大しているという背景があるなかで、国民はあらゆる政策のコストと、政策の帰結としての分配問題に敏感になっている。

 麻生首相が、自身の選択した中期目標の経済的負担は1世帯あたり年間7万6000円であると明示したのに対して、民主党案では全く触れられていない。全量買い取り方式の再生可能エネルギーに対する固定価格買い取り制度や、排出権取引制度などの提案がもたらす経済的影響、所得分配への影響はどうなるのか、関心がない国民はいない。政府の試算でいえば、民主党案の削減では1世帯あたり年間33万円〜91万円にも上るのに、である。

 現在の民主党は政権与党ではないため、政策を分析する機構やリソース、情報が欠如しているというハンディキャップはある。しかし、中期目標検討過程では、ほとんどすべての数量的情報が開示され、議論も公開されてきたわけだから、対案を出すからには相当の根拠がなければ、国民も納得しないであろう。

 第二の欠陥は、排出権取引制度と地球温暖化対策税(環境税)は政策目的、政策効果の点で二者択一の政策オプションであるにもかかわらず、民主党案は両方とも導入が予定されていることである。これらの政策が温暖化対策の文脈で同時に導入されたり、導入が検討されている国は、世界のどこにも存在しない。こうした政策割当の問題について、二つの同じ効果を持つ政策が同時に必要な理由が全く示されていないのでは、政権能力があるとはいえない。

 すなわち、一つの政策目的に対して複数の政策手段を導入することは、政策手段同士が効果を相殺したり、効果が見通せなくなったり、政策効果の評価が不明確になるなどの混乱を招くので、政策のプロフェッショナルであれば考える余地がないのである。

 さらに、高速料金の無料化やガソリン税の減税など、GHGの「増加」につながる政策も、温暖化政策との整合性を説明することなく並列されているという問題も指摘しておかなければならない。
 

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