異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

野村浩二の『ポスト京都の経済インパクト』

技術革新を促す政府の役割

グリーン・イノベーションに向け
多様性ある技術政策の導入を

2010年8月23日(月)公開
陶により政を知る

 漢から清朝の終わりまで、二千年にわたる中国陶磁の歴史は、その当時の基幹産業であった陶磁器製造業におけるイノベーションを色濃く反映している。焼成中に薪(たきぎ)の灰などが降り注いで与えられた自然の景色から、緑釉(りょくゆう)や三彩というように人為的な彩りが加えられるようになった。唐の白磁には豊かな造形があり、宋代においては研ぎ澄まされた青磁が制作される。元初にはイスラムから入ったコバルトを用いた青花(染付)が開発され、磁器に絵付けという表現が加わる。当初は消費者にあまり受け入れられなかったようであるが、嗜好(しこう)の変化もあるのであろう。磁器の主役は青花へと移り、清朝の康熙、雍正、そして乾隆期には技術的なピークを迎える。

 興味深いことは、それまでの作品の品質を前提に、後世がさらにそれを上回るものを作っていくような単線的な歴史ではないことである。釉薬(ゆうやく)や炉を通じて知識や技術が継承されようとも、もっとも重要な生産要素である人間の技能は世代ごとにリセットされる。陶磁器の品質には、北宋と清朝に二つのピーク期がある。後世のイミテーションは数多いが、模造によってかなり接近できるほどの古陶磁では、贋作(がんさく)の存在は真作の価格を抑える一因となっている。しかし真の優品を再現することは現在でも困難であり、現存数がわずかである北宋の汝窯(青磁)には億の価が付き、清朝の官窯では数千万円はざらである。

 イノベーションは、天才的な陶工の出現によるものではない。卓抜した気品を誇る作品群が現在に遺された背景に、きわめて膨大な数の失敗作や試作品があったことは、後世になって発見された窯跡が如実に物語っている。イノベーションの実現のためには、研究開発というコスト負担が必要であったことは、現在と何ら変わらないのである。

 「陶により政を知る」と言われる。イノベーションが実現した背景には、陶磁器の品質が適切に評価され、またその開発のための費用負担が社会的に受容されるような、揺るぎない安定した治世が不可欠であったに違いない。翻(ひるがえ)っていま、社会が必要とするイノベーションを推進するために政府は何ができるだろうか。
 

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この記事の目次
技術革新を促す政府の役割
グリーン・イノベーションに向け
多様性ある技術政策の導入を

エネルギー技術 再生可能エネルギー

エネルギー政策 日本

CO2削減技術 省エネルギー